生活の質に大きくかかわる手の障害の治療は全人的なサポートにつながる
「手が障害を受けると日常生活に大きな支障をきたし、QOL(生活の質)が著しく損なわれます。また、手の動きが悪くなると大脳の働きに変化が起こることが近年の研究から明らかとなり、認知機能や学習機能をはじめ、手の障害が大脳に与える影響も注目されています。
つまり、手の痛みやしびれを取る、手の機能を回復する、手の構造を正常に保つといった治療は全人的なサポートにつながっているのです」と平田先生はいいます。
生涯現役で活躍するカギは手や腕のフレイルの克服
超高齢社会が到来し、75歳以上の高齢者が増加する中、手の障害はこれからますます多くなってくると予測されています。
「手の障害は60歳頃から起こってくるため、生涯現役で活躍することを望んでいても、しびれや痛み、変形によって手が思うように使えず、それが叶わない可能性もあります。手や腕のフレイル(虚弱)を克服することが生涯現役のカギを握るといっていいでしょう」(平田先生)。
私たちが考えている以上に、健康長寿の実現における手の重要性は大きいのです。更年期以降、手の健康にも関心を持ち、骨折やけがをしたときは慎重に医療機関を選び、手や腕の異常に気づいたら、早めに手外科専門医にかかることを心がけたいものです。