患者にはメリットも大きいが、現状で対象になる患者は多くない
状態が安定している患者にとっては、月2回の通院のうちの1回がオンライン診療になれば、通院の時間や待ち時間、交通費を節約でき、家族の付き添いも減るなどの大きなメリットがあります
(コラム参照)。
ただ、オンライン診療には課題もあります。対面診療であれば医師は患者の姿勢、声の力強さや匂いなども含めて全身の状態を観察できますが、オンライン診療では難しく、また、すぐに検査を受けることもできません。スマートフォンやパソコンなどが使えない人は、家族や在宅医療のスタッフの支援が必要です。
「今回の診療報酬改定で特に矛盾が指摘されているのが算定要件です。薬は3か月の長期処方ができるため、同じ医師自身が毎月対面診療を行っているケースは非常に限られます」と加藤さん。
さらにこのオンライン診療料の新設と同時に電話等再診でのオンライン診療が廃止され、これまで認められていた一般的な疾患の電話やビデオ通話での再診ができなくなりました。
「今回の改定は慢性疾患に関しては診療報酬がついた分、半歩進んで、電話等再診を利用していた眼科や皮膚科などに関しては後退した感じです」。
面倒なのが薬の受け取りです。院内処方なら薬を郵送で受け取れますが、院外処方なら 郵送で処方箋を受け取り、薬局に取りに行かねばなりません。「これでは患者さんにとってオンラインであるメリットが半減します」。