現在のオンライン診療
〜診療の継続で病気の悪化を防げる一方で、パソコンやスマホの操作技術は必須〜
■ 患者にとって● メリット・通院時間や待ち時間が不要になる。
・交通費がかからない。
・忙しくても、あるいは体調が悪くても受診を継続しやすいため、病気の悪化を防げる。医師と長くつきあっていける。
・家族の通院の付き添いが不要になる。
● デメリット・初診では受けられない。
・緊急時には通院することが決められている。
・検査が即座に受けられない。
・機器の画面の制約があり、全身あるいは、現在治療中以外の箇所をみてもらいにくい。
・パソコンやスマートフォン、アプリの操作が必須で、慣れていない人は支援が必要。
・薬は院外処方の場合、処方箋を後日受け取ってから薬局に出向く必要がある。
■ 医師にとって● メリット・診療が継続できるため、病気の悪化を防げる。
・病状が気になる患者を出向かなくても診察できる。
・在宅医療であれば、往診の時間の節約になる。
● デメリット・全身をみることができず、見えないところや匂いがわからない。
・検査が即座にできない。
・待合室で患者に待っていてもらって次々と診察するほうがスピーディー。
・診療報酬が低めなため、オンライン診療ばかりが増えると収入が減る可能性がある。
・診療報酬を受けるための手続きがやや煩雑。
オンライン診療はどう進展してきたの?
〜2018年度診療報酬改定で初めて算定〜
1948年医師法施行。
20条で医師が診察せずに治療することを禁止。
1997年厚生省(当時)が「遠隔診療」はあくまで直接の対面診療を補完するものとして行うべきものであるが、直ちに医師法20条に抵触するものではないと通知。
2003年厚労省が遠隔診療の適用症例として在宅の難病や糖尿病の患者などを例示。
(2005年頃インターネット電話などの通信のしくみが普及していく)
2011年厚労省が遠隔診療の適用症例として在宅の脳血管障害やがんの患者を追加。
2015年厚労省が、適用症例はあくまで例で、患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案したうえで対面診療と適切に組み合わせれば遠隔診療を行っても差し支えない旨の事務連絡を出す。
2018年診療報酬改定により、オンライン診療料等が新設される。
加藤浩晃(かとう ひろあき)さん
2007年浜松医科大学医学部医学科卒業。09年京都府立医科大学眼科学教室研修医、バプテスト眼科クリニックを経て、13年に京都府立医科大学大学院入学。14年欧州医学教育学会医学教育講座を修了。15年京都大学医学教育プログラム講師、16年厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室室長補佐、京都府立医科大学眼科学教室特任助教、17年から現職。今年6月に『医療4.0(第4次産業革命時代の医療)』(日経BP)を上梓。
取材・文/小島あゆみ イラスト/(c)tocko〈LAIMAN〉(タイトル) 撮影/八田政玄
「家庭画報」2018年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。