2018年7月1日現役復帰会見での髙橋さん。「これからの人生で前に進んでいくためにも、スケートとしっかり向き合って自分のために滑りたい」という言葉が印象的でした。撮影/家庭画報編集部こうやって発言を振り返って書いていても、必要以上に卑下もせず、かつ自信過剰にもならず、客観的に自分が置かれている状況を理解したうえで前に進もうとしている姿に、さまざまな経験を積み重ねた4年間の成長を感じました。
現役時代の髙橋さんはどちらかというと、時にこちらが歯がゆくなるほど(すみません!苦笑)自己評価が低く、自分を厳しく見る傾向がある印象だったので、もしかしたら今回も「ここで怪我をしてしまうようでは、もう……」的な発言が出てしまうのかな、とひそかに心配していたのですが。
いい意味で予想を裏切られました。現役を引退してから試みた新分野への挑戦と試行錯誤、成功体験、そして失敗や反省をもすべて糧にして、いい年の重ね方をしてきた32歳の今だからこそ、改めて現役復帰の選択という境地に達することができたのでしょう。
氷上練習は9月から始めているという髙橋さん。初戦は10月5日から始まる近畿選手権の予定です。
それにしても。
いまや、世界をリードするまでになった日本のスケーターたち。日々のその努力を見ていると、フィギュアスケート界に君臨するのは本当に過酷なことだと思います。
もちろん、才能があり、好きだからやっているとはいえ、多くのことを諦め、フィギュアスケート中心の生活を何年も送り続けてこそ、世界を牽引する位置にいられる。
怪我との戦いもあります。遠征費、コーチ指導料、リンク代といった経費も莫大な金額です。メンタル、フィジカル、環境……、その1つでも欠けてしまったら、現役を続けて行くのは難しい現実があります。
でも、今回、髙橋さんが現役引退から4年もの歳月を経て復帰を目指したことにより、一回引退しても状況が許せば復帰を志すスケーターが、このあと出てくるかもしれません。
望んだこと、夢見たことがすべて願う通りになるとは限りませんが、一度きりの人生、結果以上に、自分の心に従って突き進むプロセスが大切なときもあるのかもしれません。
そんな夢と希望をスケーター、そしてフィギュアスケートファンに与えてくれた今回の髙橋さんの覚悟とチャレンジを、心から応援します。