【問題】
「冬至(とうじ)」の日に食べるものは何ですか?
(1)「冬至かぼちゃ」と言われるかぼちゃでしょ?
(2)「冬至の小豆粥」じゃなかった?
(3)「冬至にはこんにゃくを食べる」と聞いた気がするけど?
「冬至」は一年中で昼間が最も短く、夜が最も長い日。
北半球では、太陽は正午の時刻に一年で最も低い位置にいます。翌日からは一転して日照時間が長くなっていくので、「一陽来復(いちようらいふく)」の日であり、運を転じることができる日とされています。
農耕民族にとって太陽の光や熱は絶対に必要なもので、古代中国の暦では冬至が一年の始まりで、「冬至祭」の儀式が行われていました。
日にちは天文学で決まります。
この日の食べものの答としては、「かぼちゃ」「小豆粥」「こんにゃく」のいずれも正解!
かぼちゃは黄色に厄(やく)よけの意味があるうえ、荒れ地でも育つ野菜で、夏に収穫しても長持ちします。冬至の日に村々を回って春を呼び戻してくれる神様にお供えし、共に食べる風習にふさわしい野菜でした。
「冬至にかぼちゃを食べると中風(ちゅうぶう)にならない」とも。中風とは、脳出血などによる麻痺のことも指しますが、ここでは風邪の意味。かぼちゃに含まれるビタミンは、風邪への抵抗力に最適。野菜が不足しがちな時期に、栄養価の高い緑黄色野菜を食べるのは理にもかなっていたのです。
「小豆粥」のほうも、小豆の赤い色に魔除けの力があるので食べて病気にかからないように、の意味。
「こんにゃく」は「お腹のすす払い」で、食物繊維の豊富さが整腸剤として有効。一年間に溜まった煩悩を洗い流す、と僧侶が好んで食べたとも言われます。
かぼちゃは別名「なんきん」で、「こんにゃく」とともに“運盛り”といって、“ん(運)”のつく食べもの(にんじん・れんこん・ぎんなん・きんかんなど)を食べるとよい、といわれる地方もあります。
「冬至の柚子湯」もありますね。柚子を浮かべた香りのよい湯に入って、邪気を祓(はら)う禊ぎ(みそぎ)を行ったのがルーツ。「冬至」を「湯治」に、「柚子」を「融通」にと、語呂合わせの縁起にもなっています。
以上のどれもが、本格的な寒さを迎えるこの時期の体調管理を戒めてもいます。
【答え】(1)、(2)、(3)いずれも正解です。
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写真/PIXTA 文/森山弥生 参考文献:『年中行事を科学する』(永田 久著・日本経済新聞社)、『食のことわざ歳時記』 (平野雅章著・講談社)、国立天文台ホームページ