【問題】お正月の鏡餅。一番上に乗せる果物はどれでしょう?
(1)葉のついたみかん
(2)形のよいゆず
(3)皮のきれいなだいだい
お正月には、丸く平たい鏡のような餅を大小2個重ねた鏡餅を床の間などに飾ります。三方(さんぼう)と呼ばれる台に奉書紙や半紙を敷き、裏白(うらじろ)とゆずり葉を置いて餅をのせ、昆布を前に下げるのが一般的な飾り方です。
鏡餅の上に乗せるのは、最近では身近なみかんや、ゆずを乗せる家庭もあるようですが、正式にはだいだいという柑橘類です。
だいだいは、完熟しても採らずにそのまま木に残すと、次の果実ができても落ちずに、再び青くなって11月頃にまただいだい色に色づきます。一般の果物は完熟すると枝から落ちますが、去年の果実と今年の果実が同じ木に混在する柑橘類なのです。
そのため「だいだい(代々)続く子孫繁栄」の象徴として、鏡餅の飾りに使います。
裏白は葉の裏が白いシダ科の植物。白さに清廉な一生を、また古い葉とともに新しい葉も伸びてくることから長寿の願いを込めています。
ゆずり葉は、新しい葉が大きくなってから古い葉が落ちるので末代までの福を願って。
鏡餅の飾り方はこのほか地方や家ごとに様々で、串柿や海藻のホンダワラ、伊勢海老などを飾る場合も。これらも、新しい年の福を願う意味があります。
そもそもお正月とは、その年の新しい「年神様(としがみさま)」を家に招いて、一年の幸いを届けていただく行事。年神様とは新しい年の実りをもたらし、人々に命を与えてくれる存在で、ご先祖様であるとも考えられています。
このご先祖様は早春には田の神様になり、秋の収穫後には山の神様に、そして正月には年神様として里に戻ってくるのです。
「あけましておめでとうございます」という言葉は、本来は人間に対して言うのではなく、あらたな年に迎えることができた年神様に捧げる祝福の言葉。年神様を賛美し、迎える言葉なのです。
そして鏡餅の丸い形は昔の銅鏡に由来し、人の魂(心臓)をかたどったもの、年神様のご神体そのものとも考えられており、鏡餅は正月行事の中心的な役割があるのです。鏡餅は1月11日の「鏡開きの日」に下げて、お汁粉などにします。
【答え】3
大人検定365とは?素敵な大人が知っておくべき常識、マナーをQ&A方式で毎日お伝えします!
ジャンルはパーティでの振る舞いから日常にある今更聞けない疑問まで。
日々の会話、コミュニケーションのヒントにもお役立てください!
#大人検定365をもっと見る
#日本再発見をもっと見る
#食文化をもっと見る
写真/PIXTA 文/森山弥生 参考文献:『年中行事を科学する』(永田 久著・日本経済新聞社)、『暮らしのしきたり十二か月』(神宮館編集部)、『新・食品事典6 果物・種実』(河野友美編・真珠書院)