伊藤眞砂子さんの「ファゴッティングレース」の世界
精緻なモザイク画のような植物や幾何学的なモチーフを、レースのオープンワークで表現する伊藤眞砂子さん。
16世紀から続くニードルポイントレースの技法を用いながら、絹のバイアスループで輪郭をフレーミングした中に、多彩な絹糸を駆使して、自由に図案を描き出します。
伝統的なレースの世界では素材や技法が細やかに区分されているため、伊藤さんは「かがり、束ねる」という意味の中世の言葉を用い「ファゴッティングレース」というオリジナルの呼び名で自らの作品を表現。ブラウスの襟元にあしらったり、プレーンなワンピースやカットソーのワンポイントに、またアクセサリーとしても最適です。
ノーブルなお洒落のパートナーであると同時に、インテリアのオブジェとしても楽しめる、典雅な「ファゴッティングレース」をお届けします。
スカルモチーフのファゴッティングレースをあしらったTシャツでインタビューに答えてくださった伊藤眞砂子さん。
多彩な色と繊細な透け感を装う伊藤さんが手工芸に魅せられたのは、日本刺繍を専攻していた学生時代に端を発します。当時夢中になって読んだというトルストイの『アンナ・カレーニナ』の一節の、「本物のレース」という表現に心惹かれ、レースへの憧れを募らせます。
結婚後も続けていた日本刺繍を、視力の低下により断念。それを機に「本物のレース」を求めてクラシックレースの世界に足を踏み入れます。
実は、ほとんどが独学。国立国会図書館に通ったり、工芸の専門書を買い求めては、写真をルーペで見てかがり方を研究するなど、まさに「糸の道」を辿る日々を過ごしてました。