左から「ナルシスノアール」、「パリの雪」、「タージマハール」。高さ5cmほどのミニボトルで3万円~(ファゴッティングレース作品代のみ、ボトルは代金に含まれません。ご希望のボトルにレースを被せます)。透ける神秘をインテリアに伊藤さんの作品は全てがオリジナルデザインで、型紙から自身で手がけています。図案を起こし、配色やかがり方の組み合わせを思案、それからやっと糸を通し始める……直径20cmほどの完全オーダーのアイテムで約3か月を要します。
クリエイティビティに加え、根気と体力の限りを要する「ファゴッティングレース」に、伊藤さんがこれほどまでに心惹かれた理由とは何でしょう。「一言で表すなら透ける神秘性でしょうか」(伊藤さん)。その透け感をオブジェとして楽しめるようにと考案されたのが、アンティークの香水の小瓶をレースで飾ることです。
ボトルの形状によっては、表裏で異なるモチーフを表して。「パリの雪」の場合は片面にエッフェル塔を、もう片面に雪の結晶を。「タージマハール」は、片面に寺院のシルエットを、もう片面にアラベスク模様をかがりました。新たな取り組みは「茶道の世界」昨年からは茶道に「ファゴスティンレース」を取り入れる新たな試みに挑戦。仕覆や小帛紗に仕立て、茶事を古今東西の美意識で満たす提案も始めました。かつてヨーロッパでは一国の財政を担うほど、宝石にも匹敵するほど高価だったレース。伝統と革新が融合した伊藤眞砂子さんの作品を、装いから設えまで暮らしの中で楽しんではいかがでしょう。
作品「青い花」仕覆8万円~(ガラス作家・佐野 猛さんの茶入れ「重ね氷」とのセット価格)、小帛紗5万円~。 伊藤眞砂子/いとう・まさこ
レース刺繍作家
1980年にレースのかがり方の探求を始める。百貨店で作品を発表しながら独自の作風を模索し続け、2006年には南青山の「ギャラリー+クックラボ como」にて初の個展を開催。今年7月には、呉服店「青山とみひろ」で個展をするという試みも。
作品は全てが1点ものの受注オーダー。図案から起こすフルオーダーで約3か月、図案がある作品の場合は約1か月半で納品。作品の注文やお問い合わせは、呉服店「青山とみひろ」まで。
■青山とみひろ
電話 03-6804-1051
https://tomihiro.co.jp/aoyama/
表示価格はすべて税抜きです。 撮影/八田政玄 構成・文/樺澤貴子