本作品の稽古が『モーツァルト!』の名古屋公演中に始まったため「休演日に東京へ来て稽古をして、名古屋に戻って『モーツァルト!』の本番……という感じでした」。――『レ・ミゼラブル』もそうですし、この時代を描いた作品は確かに多いですね。社会全体が激しく揺れ動いた、日本で言うなら幕末のような時代なのかもしれません。
「まさにそうだと思います。この作品のマルグリットは架空の人物なんですけれども、きっとモデルは一人ではなくて、フランス革命当時の民衆の代表というか、庶民の人達をギュッとまとめたような人物として描かれているのかなと思っています。
とても華やかな貴族の世界が描かれていますし、フィクションではあるんだけれども、一方でリアルな部分もすごくあって、『エリザベート』や『モーツァルト!』とはまたひと味違った魅力があるなと感じています」
――『モーツァルト!』も手がけたミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイの作品です。楽曲的にはどんな魅力を感じていますか?
「1曲1曲にドラマがあって、それを全編繋げると、さらにドラマチックになっていく。そこに魅力を感じます。その分、歌うほうとしてはとても難しくて、全体のキーはそんなに高くない歌でも、ワンフレーズだけすごく高い音があったりするんです。でも稽古をしていく中で、“今はこの高いキーを歌う感情にいるんだな”“感情がメロディでこんなに表現されているんだ”と実感したので、譜面通りしっかり歌えるようにしたいです」