気を配ったのは、物語の中のめぐみと皆の記憶の中のめぐみのバランス
「ご一緒させていただいた映画の打ち上げのときに、“若松プロにいた若い女性を通して当時を描いた映画を撮りたいと思っていて、麦ちゃんは役のイメージにぴったりなんだよね”という話をしてくださって。これまで白石監督とご一緒した作品は、たくさん出番がある役ではなかったので、白石監督としっかり、しかもこんなに早くまたご一緒できると思っていなかったですし、白石監督が若松監督のところで助監督をされていた話は聞いていましたから、強い思いがある方を描く映画のお話にぴったりだと言ってくださったことがとてもうれしかったです」
めぐみ役を演じるにあたっては、めぐみさんを知る人達に直接話を聞いたり、彼女について語るインタビューや資料を見たそうです。その上で、気を配っていたことが。
「再現するというよりは、映画の中に存在する役として捉えたほうが作品も観やすくなるんじゃないかなと思ったんです。ただ、めぐみさんについて話している皆さんのお顔がキラキラしていて。皆さんの青春が詰まった時代だったんですよね。だから、皆さんの思いをきちんと心に持ちつつ物語の中で生きているめぐみを演じること、若松監督と縁の深い方達の溢れ出しそうになる故人への思いに引っ張られすぎないこと。この比重にはとても気を配りました」
白石監督をはじめ、若松監督役の井浦 新さんなどキャスト、スタッフ共に若松監督に所縁のある人々が集結し、本作は製作された。