帯留めを主役に、重陽の節句のイベントへ
9月9日は五節句のひとつである重陽のお節句。高貴な花とされてきた菊を飾り、菊の花びらを浮かべた菊酒を飲み、人々は不老長寿を祝ったそうです。今ではあまり馴染みのないお節句ですが、福島県二本松市は日本最大級の規模を誇る「菊人形」の祭典で知られるところ。市のゆるキャラである菊松君は、9月9日がお誕生日ということで、この日はお祝いに駆けつけました(笑)。
毎年、この時期を迎えると「今年はどんな菊揃えにしようか」と頭を悩ませますが、この日は二輪の菊が連なる大きな帯留めを主役とすることに。象牙色の帯留めが引き立つように、きものと帯はワイン系の色でワントーンにまとめました。この帯は、母がずっと若い頃に締めていたもの。きものは深い色味が秋単衣として活躍し、無地感覚の細い縞柄でどんな帯とも相性抜群です。
例えば、白地にすすきを刺繍した帯を合わせると、はんなりと上品な印象に。
9月の定番のコーディネートをご覧いただきましたが、来月からは袷の季節。次回は、
現在発売中の雑誌『きものSalon』で撮影いただいたショットから、誌面に掲載できなかったものを番外編としてお届けしたいと思います。
一色采子/Saiko Isshiki
女優
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
【連載】女優 一色采子の「母のタンス、娘のセンス」
構成/樺澤貴子