【問題】
大豆に、女性ホルモンに似た成分があるってほんと？
取材・文／森山弥生
最近、健康志向の人たちに「植物肉」が話題です。これは植物性たんぱく質である大豆たんぱく質を加工し（小麦たんぱく質の場合も）、肉のフレーバーを加えたもの。ステーキやハンバーグ、フライドチキンなどの形に加工され、食感も肉と比べても遜色なし。動物性脂肪は含まれないので、健康への罪悪感を感じずにたくさん食べられるというわけです。
もともと大豆は「畑の肉」ともいわれ、大豆たんぱく質の高い栄養価が、獣肉を食べなかった日本人の健康を支えてきました。以前は、植物性たんぱく質は必須アミノ酸の含有量の面で動物性たんぱく質に劣るといわれましたが、最新の研究では、植物性たんぱく質だけで栄養的には十分であるとされています。大豆加工品の豆腐、油揚げ、納豆、味噌などは、日本人に欠かせないソウルフードですね。
近年ではさらに、大豆に含まれる機能性成分「フィトケミカル（植物性食品の化学物質）」の「大豆イソフラボン」が、日本人女性の健康や美容に大きく寄与していると解明されています。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンの一種エストロゲンの構造と似ているので、植物エストロゲンとも呼ばれるもの。エストロゲンは、体内で女性の妊娠や出産などに大きく関わり、閉経後にエストロゲンが激減すると、更年期障害や高脂血症、動脈硬化、骨粗鬆症などが起きやすくなります。閉経後の世代が植物エストロゲンを有する大豆、大豆加工品を食べることで、女性ホルモンを補う効果があることは、研究者によりエビデンス（科学的根拠）が得られています。
もともと日本人女性は、欧米女性に比べて更年期障害は軽く、心臓病による死亡率や骨粗鬆症による大腿骨骨折も少ない人種。乳がん、子宮がんなど性ホルモン系のがん罹患率も、欧米女性の半分ほどです。
これは、食事による大豆イソフラボン摂取量が、欧米女性の10倍以上もあったことに起因するもの。ソウルフードを食べ続けてきたことで、知らず知らずに大豆イソフラボンの恩恵を受けてきたのです。女性ホルモンは体内でヒアルロン酸やコラーゲンの合成にも関与し、肌の弾力や潤い、ハリなどを保つ役割も。大豆イソフラボンにも同様に美肌・美白効果が期待されています。
植物エストロゲンを持つのは、食物では大豆のみ。乾物の大豆は戻すのに時間がかかりますが、いまは食べきりパックのゆで大豆類がとても豊富。特別に形成された植物肉でなくても、身近な豆腐や油揚げ、納豆、味噌などはコンビニの常設商品です。美容と健康に、大豆や大豆加工品を積極的にどうぞ。
【答え】「大豆イソフラボン」で、美肌、美白効果が期待されています。
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写真／PIXTA 参考文献：『大豆イソフラボン』（家森幸男・太田静行・渡邊 昌編・幸書房）
