【問題】
きゅうりの板ずりって、何のためにするの?
文/森山弥生
少し暖かくなると、水分を含みすっきりした味わいのきゅうりがおいしく感じられますね。
板ずりは、まな板の上に洗ったきゅうりをのせて全体に塩をふり(1本につき小さじ1/4ほど)、両手のひら全体で少し強めにごろごろ転がす方法です。きゅうりは1本でも、数本まとめてもOK。1本だけの場合はまな板を使わずに、手のみで塩をこすりつけてもいいでしょう。板ずりした後は、塩分が料理の味を損なわないように、さっと水洗いをして使います。
板ずりをすると、凹凸のいぼがあるきゅうりの表面はなめらかになり、ひと味おいしくなります。色が鮮やかになるのは、調理科学的に見ると表皮組織が壊れて、表面の細胞に含まれる水分が塩の浸透圧作用で引き出され、緑色の色素成分も表面に出るため。皮は組織が堅くて味がなじみにくいのですが、板ずりによってドレッシングなども染み込みやすくなります。
ところで、塩もみのほうは切ってから塩をふって、軽くもむ方法。塩の浸透圧と、もむ力で水分をしぼり出してひきしめるのです。ギュッと力を入れすぎるとくずれて歯ごたえもなくなるので注意を。ていねいにするには、塩を直接ふらずに、海水程度の濃度の塩水に10分ほど浸して、水分を引き出す方法もあります(立て塩)。
【答え】きゅうりの表皮組織をこわして色鮮やかにし、調味料も染み込みやすくするため。
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写真/PIXTA 文/森山弥生 参考文献:『料理上手になる食材の基本』(野崎洋光著・世界文化社)、『こつの科学』(杉田浩一著・柴田書店)