鹿革と漆が生み出す「用の美」が日々の暮らしを彩る 日本における革製品の歴史は古く、大陸から技術が渡来してから1000年以上、革を染色したり模様を施すなどさまざまな工夫が行われ各地で発展してきました。その一つである甲州印伝は、古くから鹿革や漆の産出が盛んであった地の利を生かしてその技が高められてきました。
バッグを開くと、リングをはめる2本のバー、ファスナー付きの2つのポケットのほか、写真でネックレスが収納されている大ポケットの中には小さな内ポケットが2つある。
丈夫で手になじむ鹿革は戦国時代より武具への使用を好まれていましたが、現在の形の印伝が生まれたのは江戸時代になってからのこと。“印“度“伝“来の華やかに装飾された革が幕府に上納されたことにちなんで、「印伝」の呼称が生まれたといわれています。丈夫で美しい印伝は、巾着や煙草入れ、財布など、日々の暮らしを彩る実用品として人々に愛されてきました。
印伝の生地となる鹿革はしなやかで、使い込むほどになめらかな使い心地になり、漆の文様も時が経つほどに風合いが出てきます。長く使い続けられる実用性と、文様が生み出す装飾性の双方を兼ね備えた甲州印伝には、日本の伝統工芸ならではの「用の美」が宿っています。
印伝の技法の一つである「燻ふすべ」。鹿革を筒型のタイコに貼って藁でいぶして仕上げる。
鹿革の上に、模様を彫った和紙の型紙を置き、その上から漆をのせてヘラで強く摺り込む。むらなく均一に、かつ手早く摺り込めるかが肝要。
家庭画報×甲州印伝 クラッチバッグのご購入方法
「クラッチバッグ」縦約12×横約24×厚さ約2.5センチ(3つ折りした状態) 4万8000円(税・送料別)。購入をご希望のかたは、直接「印傳屋 上原勇七」にご注文ください。ご注文は公式ウェブサイトよりお願いいたします。ご注文締め切りは11月末日です。
印傳屋|INDEN-YAhttp://www.inden-ya.co.jp※ご注文が確定してから製作するため、商品のお届けにはお時間がかかります。また、商品は一つ一つ手作りのため、仕上がりが写真とは少々異なる場合があります。
今回ご協力いただいたかた 印傳屋 上原勇七江戸時代、遠祖上原勇七が鹿革に漆付けする独自の技法を創案し、以来13代続く。今の暮らしに合ったさまざまな商品のほか、ファッションブランドなどとのコラボレーションも盛ん。
印傳屋 上原勇七 本店
山梨県甲府市中央3-11-15
TEL:055(233)1100
撮影/大泉省吾
「家庭画報」2017年11月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。