知っておきたい専門外来 治療を続けているのによくならない、今の治療効果に満足していない――。このような悩みを抱える人は少なくありません。こんなときに頼りになるのが「専門外来」です。一般外来ではなかなか受けられない個別性の高い治療が期待できます。
前回の記事はこちら>> シリーズの第5回は、科学的根拠に基づいた治療指針と画像診断で最先端の便秘治療に取り組む専門外来を取り上げます。
生活の質を著しく低下させることもある悩ましい便秘。潜在者を含めると患者は全人口の2割を占めるともいわれます。
下剤を多用する経験的な治療が主流で便秘は治りにくい病気の一つでしたが、今、治療が大きく変わり始めています。
国立病院機構久里浜医療センター 内視鏡部長
水上 健先生便秘とは?
排便が困難な状態のことをいうが、2017年10月に日本で初めて刊行された『慢性便秘症診療ガイドライン』(日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断・治療研究会編)では、慢性便秘について「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と幅広く定義している。
また、4回に1回以上の頻度で(1)排便時に強くいきむ、(2)硬い便が出る、(3)残便感を感じる、(4)直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある、(5)便をかき出す(摘便)などの用手的な排便介助が必要、および(6)便回数が週3回未満の6項目のうち、2項目を満たした場合に治療の対象としている。
患者数は?
厚生労働省の「平成26年患者調査」によると便秘で医療機関を受診した人は20万9000人だが、潜在的な患者を含めると全人口の2割を占めるともいわれる。
便秘の有病率は女性では10代後半から、男性では60代から増え、80歳以上では男女の差がなくなる。
また、男女ともに高齢になるほど増加し、慢性便秘患者の大半は高齢者である。超高齢社会を背景に今後も増加の一途をたどると推測されている。
便秘外来とは?
2012年、32年ぶりに便秘の新薬が登場して以来、数種類の新薬が次々と発売され、従来のように下剤に頼らなくても治せる時代になってきた。
こうした背景もあって近年、診療所を中心に便秘外来を設置する医療機関が増えており、前出の『慢性便秘症診療ガイドライン』をベースに科学的根拠に基づいた治療が行われるようになってきた。
こんな悩みは専門外来へ!
●便が硬い、出にくい、残便感がある、便回数が少ない(週3回未満)
●下剤を毎日飲んでいる、下剤がなくては排便できず、下剤の量が増えている など
●便秘に悩まされて、生活の質(QOL)が低下している