染料を「注ぎ」、「染める」から「注染」。明治時代に繊維の街、大阪で生まれたこの伝統技法で、手ぬぐいを作っているのが、堺市に工場をもつ「ナカニ」です。
「にじんだりゆらいだり」に由来した「にじゆら」ブランドと聞けば、ご存じのかたも多いかもしれません。
乾燥の工程のように天井から吊るしてディスプレイ。手ぬぐいにしては、モダンな柄が多い。実はこの手ぬぐいは糸染めなのでプリントとは異なり、すべて微妙に柄が違っているのです。昔ながらの工程は、糊置き→注染→水洗い→乾燥の4段階。
ロールされた手ぬぐい25枚分の布の1枚分を台の上に敷き、木枠をかぶせ型を固定。その上から防染糊を木へらでムラなくのばし、布を蛇腹状に幾度も折りたたんで重ねていきます(糊置き)。
ロールされた1枚の布を蛇腹状に重ね合わせて一度に25枚の手ぬぐいを染めることができる。次に重なった布を染め台に置き、不要な部分に染料が流れ出さないように糊で土手を作って、その中に染料を注いでいきます。
折り重なった布の上に染料が流れ出ないよう糊で土手を作り、その中にドビンといわれるじょうろで染料を注いでいく。生地の上に型紙を固定して防染糊を木へらでのばしていく。使い込まれたへらには、職人の指の跡が残る。その際、生地の目(すき間)をつぶさないように、下からポンプで吸引し、ひととおり終わると裏返して反対側からも同じ作業を繰り返します(注染)。これで裏表なく染め上がるのです。
それを今度は、“川”と呼ばれる洗い場に持って行き、糊と余分な染料を洗い流します。そして生地を十分に水洗いした後、色移りしないようにすぐ乾燥させて完成です。