“私”は迎えに来てという人ではなく、もっと能動的
自身で考えながら演じていたという“私”。橋本さんはどんなキャラクターだと捉えていたのでしょうか。
「それほど強く、こういう人だとは決めていませんでした。ただ、何に対してもけっこう曖昧というか。“あたし”ほど椎名くんに執着していないし、サツキちゃん(柳 ゆり菜)ほど東京に執着していないし、須賀さん(村上 淳)より自分のできなかったことにグチグチ言わないし。でも、特にこの人はこういう人だと目に見えていたわけではなかったので、椎名くんの最後のセリフにどの程度ショックを受けるのか、掴みきれなかったりもしたんです」
橋本さんが初日に廣木監督から言われたのは、“私”は迎えに来てという人ではない、もっと能動的だということ。
「確かに東京にも行ったし、打ちのめされて地元に戻っても、引きこもったりとかふさぎ込む選択肢はいろいろある中で、すでにライターの仕事をしていたり。何か強さというか、何か失われても生きていく灯みたいなものがちゃんとある人。もしかしたら“私”は、普段グジグジ言いながらも、ちゃんと生きている人たちの姿が集約された人なのかもしれないと思います」
「群像劇だったので、たくさんの人の中で“私”という人をちゃんと輝かせなければいけない。そこは、けっこう悩んだところでした」