「賢明な選択」のために患者も医師に質問を
Choosing Wiselyの根底にあるのは、「医師がプロフェッショナルとして、科学的にも倫理的にも社会的にも責任を持って医療にあたること、そして、もう1つがそのベースとして科学的根拠に基づく医療(Evidence-BasedMedicine:EBM)を重視すること」と小泉さんは語ります。
「Choosing Wiselyは医師と患者がコミュニケーションを取ることで医療の質を向上させ、検査や治療に伴う有害な事象を回避することが目的です。
医療費の削減を直接の目的とするものではありませんが、やはり患者さんには国全体の医療費も考慮してもらえるといいと思います」。
患者の立場でいえば、提示された検査や治療が自分に利益があるのか、また不利益がないのか、細かくはわかりません。
「だからこそ、この検査や治療はほんとうに必要か、副作用、あるいは結果の信頼性が低いために、さらに多くの検査や治療が必要になるといった不利益はないか、逆に何もしなければどうなるか、そして費用を医師に尋ねてほしいと思います」と小泉さん。
日常生活で洋服や食材を吟味して選ぶのであれば、自分が受ける医療はなおさら納得できるかどうか、よく吟味したいものです。
患者の主体性がより増していくのがこれからの医療です。次号では、近年話題になっているShared Decision Making(患者と医療者の協働意思決定)について掘り下げていきます。