地味紬の特効薬となる万能帯 その1
「母のタンス」にありがちなアイテムのひとつが麻の葉模様の藍の大島紬。私の「母のタンス」にあった一枚は、裾に行くに従って麻の葉が大きく太くグラデーションに織り出されている少し凝ったデザインでした。合わせた帯は、母の絞りの羽織りを仕立て直したもの。母の時代の羽織は着丈が短い上に、羽織はその構造上から丈出しができないため、多くの羽織は残念ながら未だ箪笥の中で眠っています。
二本松城の入り口には、戊辰戦争の悲劇を物語る「少年隊」のモニュメントが。私が帯に仕立て替えたものは、無地の絞りをベースに流線とドット柄が軽やかに舞うシンプルなデザイン。地色は卯の花色のように、わずかに黄色味がかった白のため、どんなきものにも合わせやすく、これが抜群に重宝しています。
よく「母のタンスのアイテムを、お金をかけてまで仕立て直す基準は何ですか?」と聞かれますが、私の場合は、「そのアイテムが新しいものとして売られていた時に、欲しいか否か」ということです。全てのアイテムをどうにかしようとすると気持ちが削がれてしまいますが、この基準は「母のタンス」のアイテムを活かす1つの目安です!
撮影当日は、気温30度。着付けとヘアメイクを兼ねた林さんが、細やかに日傘を向けてくださって本当にありがたかったです。