スイッチが入った栞子と普段の栞子、そのギャップに注目
ビジュアルよりもイメージを大切にし、役作りには仕草から入っていった黒木さん。特に謎解きの部分には、三島有紀子監督に細かく見てもらったそうです。
「興味のあることを話すときや一つのことに一直線になってしまったときはセリフのスピードが速くなったり、まっすぐ人の目を見られたり。そういう部分と、普段は人とコミュニケーションをとるのがあまりうまくないというところのギャップをきちんと出したい、メリハリをつけたいと監督もこだわってらっしゃったので、たとえば“目線をもう少し上げようか”とか、そういうところまで細かく演出してくださいました」
三島監督とタッグを組むのは、2015年の映画『繕い裁つ人』以来。「あのときは(撮影が)数日間だったんですが、今回はしっかりやりとりができて、より楽しかった」といいます。三島監督は、「サバサバした男性っぽい方だと思っていたんですけど、雑談をしているとすごく女性っぽいところがあったり」するそうで、「大輔の目線にも栞子の目線にもなっているんですよね。それで登場人物たちの心情を美術や照明も合わせて、まとめていくというやり方がすごく面白いなと思いました」。
本作には朗読シーンも。「ナレーションのようにするのがいいのか、感情を込めて読んだほうがいいのか……。塩梅が難しかったですね」