大きな目とキュートな唇が印象的。溌剌とした笑顔から、凛とした表情に、艶っぽい大人の女性の顔まで、豊かな表情に魅せられる。最近ではNHKドラマ10『透明なゆりかご』への出演など、映像作品でも活躍する実力派女優・鈴木 杏さんが、舞台『修道女たち』に出演します。人気劇団「ナイロン100℃」を主宰する劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さんが、劇団以外の演劇活動の場である「KERA・MAP」に書き下ろす新作です。物語の舞台は、ヨーロッパを思わせる山の麓にある山荘。その稽古場にお邪魔しました!
――修道服をまとったキャスト9人が、雪の中でこちらを見つめるチラシの写真が印象的な『修道女たち』。杏さんが演じる女性はどんな役柄ですか?
「それが私の役は、修道女じゃないんです。チラシでは、修道女の格好でしっかり真ん中に写っているのに、配役表をもらったら、オーネジーという役名の下に“村の女”と書いてあって(笑)。さらに、撮影の時に“何かに挑みかかる感じで”と言われたので、チラシにはキッと睨みつけるような表情で写っているんですが、稽古が始まってからKERAさんに“ちょっと頭の弱い感じの役にしちゃった”と言われました(笑)。なので、チラシのイメージとはだいぶ違っていると思います。KERAさんならではの予想外の展開を楽しんでいます」
――稽古場で生まれたものをフィードバックしながら執筆を進めるスタイルで、ハイクオリティな作品を生み出すKERAさん。現時点では、まだ脚本に杏さんの役が登場していないとか?
「いえ、さっき、私が出てくる場面の脚本を何枚かいただきました! 永遠に出てこないんじゃないかと不安になってきていたので、出てきてよかったです(笑)。純粋な感じの娘になるそうなので、たぶん子供のように純粋な部分や、世界の見え方とか聞こえ方が他の人とちょっと違うところがある人で、その純粋さゆえに残酷なことも起こるのかなと。そういう役は初めてなので、KERAさんとの共同作業の中で柔軟に反応しながら探っていけたら。自分の出来次第で、出番が少なくなったり、KERAさんの筆が止まってしまう可能性もあるかと思うと、ひやひやします(笑)」