――今回の舞台で楽しみにしていることは何ですか?
「全部です。まず私が演じるオーネジーがどういう人間になっていくのか?というところから(笑)。KERAさんは、パンフレット用に撮影した私のある写真を見て、ボーっとしている感じもいいんじゃないかと思ったそうなんです。私自身は、長女だし、早くから仕事をし始めたこともあって“しっかりしなきゃ気質”なんですが、確かにその時は、村の娘の格好をしたものの、その人物像がわからなくて、どうしたらいいんだろうなあと思いながら撮ってもらったんですよね(笑)。そこから自分のどんな一面を引っ張り出してもらえるのかな?というところも楽しみです」
――きっと心もとない感じが写真に出ていたんでしょうね。まさに共同作業です。
「そうですね(笑)。お芝居って、“私が、私が!”って我勝ちになると、うまくいかないということに、20代後半から30代に入ってようやく気がつきました。考えたら、俳優という仕事自体、自発的にやっていることではあっても、呼んでもらえないことにはできない仕事だし、自分一人では何もできない職業なんですよね」
2019年3月~4月には、再演が決定した舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』に出演予定。――杏さんはその点、絵を描くという一人でできる表現方法も持っていて、いいですね。今秋、クラウドファンディングでご自身のイラスト作品集も出版されるとか。※フォトギャラリーに作品集からイラストを2点載せています。
「本当にありがたいです。中高生の頃から絵を描くのは好きだったんですが、ちゃんと描くようになったのは2016年の元日に、今年は“ほぼ日手帳”に1日1枚ずつ絵を描いてみようと思ってから。それが、まさかこんなにハマって、作品集まで出せることになるなんて。仕事でもプライベートでもない“隙間”の時間に絵を描くことで、前より自分を俯瞰できるようにもなった気がします」