2014年12月の全日本選手権にて披露した、競技者として最後のショートプログラム《ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア》。スケーターとしての枠をも超越するような美しい跳躍でも魅せてくれました。撮影/吉成大輔 2015年『家庭画報』4月号「男子フィギュアスケーターの挑戦 見て、聴いて。心が震える至高のプログラム」より愛するフィギュアスケート界のために。考え抜いたセカンドステージ、サードステージ
あれは2013年の11月。当時の日本男子フィギュアスケート界には実力が拮抗する現役選手が多数いて、2014年2月に行われるソチ五輪男子代表3枠の争いに向け、熾烈な戦いが繰り広げられていました。
「僕は第6の男ですから」と囲み取材や記者会見などで言い続けてきた町田さんでしたが、そのシーズンのグランプリシリーズで2戦2勝し、翌年2014年2月に行われるソチ五輪の代表権獲得に大きく近づきつつありました。
私は別冊家庭画報『氷上の奇跡2013-2014』の取材も兼ね、ソチ五輪に懸ける意気込みを伺うべく、当時、練習拠点としていた大阪府立臨海スポーツセンターへ町田さんを訪ねたのでした。
2014年10月。Japan Open前日に撮影した懐かしいカット。大きなスーツケースを引きながら1人で現場に現れ、いつも、自分の言葉で真摯に語ってくれる町田さん。その誠実でひたむきな性格がすべての作品に表れています。撮影/吉成大輔 2015年『家庭画報』4月号「男子フィギュアスケーターの挑戦 見て、聴いて。心が震える至高のプログラム」より「最近、スポーツ選手の在り方を真剣に考えているんです。残りの人生も充実させるために僕、今、大学の勉強も必死で頑張っているんですよ」。いろいろお話を伺う中で、町田さんがふと呟いた言葉でしたが、大学教員への道を目指し、プロスケーターからも引退された今、その言葉の意味と覚悟が改めて伝わってきます。取材当日も大学で授業を受けてからリンクへいらしていた記憶があります。