『あいあい傘』は、宅間孝行さんにとって映画『同窓会』(2008年)、『全員、片想い』内「サムシングブルー」(16年)に続く監督作に。映画化の話が出てから9年間、大切にされてきた作品
俳優、脚本家、演出家、映画監督。実に様々な顔を持つ宅間孝行さん。笑って泣ける作品で人気を博した劇団「東京セレソンデラックス」の主宰者でもありました。東京セレソンデラックスは、2012年に惜しまれつつ解散するも、作品はドラマ化や映画化もされ、多数の人の心に強い印象を残しています。そんな中にあって、幻の名作といわれていたものが。それが07年に上演された『あいあい傘』。再演を望む声が多くあったにもかかわらず叶わなかった『あいあい傘』が、11年の時を経て舞台作品として、そして映画、小説として蘇りました。
宅間さんのもとには、初演当時から小説化・映画化の話が届いていたそう。それから9年を経て、映画化に本格的に取り組む、ついては監督と脚本をお願いしたい、という報が。
「ポイントポイントで、話は終わってませんからというのは言われていたんですけど、映画は公開されて舞台挨拶するまで何が起こるかわからない。だから、ぬか喜びにならないように、ダメになることのほうが多いという心算でいたんです。それが、やりますとなったときに、すごく大切にしてくれていたんだなと思いましたし、そういう思いというか執念というか、非常にアツいものを感じました」