小さな成功体験を積み重ねることで減量への自信を深め、継続につなげる
同時に、食事や運動など減量にかかわる実際の行動と毎日の体重を記録するセルフモニタリングを通して、行動が体重の増減にどう結びついているのかを1つずつ振り返り、減量生活の見直しを図ります。
この振り返りについては、管理栄養士も臨床心理士と同様に月1回、定期的にサポートしており、そのときの状況に応じて食事の改善点や工夫点などをアドバイスしています。
「こうした減量を行う中で“間食を控えたら体重が減った”などの小さな成功体験を患者さんが積み重ねていくと、やる気が高まりますし、減量に対する主体性も出てきます。
何をやってもやせられないとあきらめている患者さんをこの段階まで引き上げるには、カウンセリング、食事指導、運動指導が三位一体となったきめ細かいサポートが欠かせません」
減量前の検査で全身状態を確認し安全性にも十分に配慮
同外来の診療の流れは下図のとおりです。検査入院で患者の全身状態を確認し、肥満の程度を詳しく分析、かつ安全性に配慮しているのは医療機関ならではの対応です。
「この検査で健康障害が見つかる人も少なくありません。その場合は治療と並行して減量を実施します」。
減量指導のプログラムは6か月を一区切りに効果判定が行われ、今後の減量方針について話し合われます。そして、3か月ごとにフォローアップがあり、サポート期間は原則1年です。
「BMIが30以下の人にはインターネットによる減量サポートを行っているのも当外来の大きな特徴です」と木村先生は話します。次回は、同外来の減量指導の実際についてさらに詳しく紹介します。
後編へ続く>> Information
関西医科大学附属病院健康科学センター
大阪府枚方市新町2-3-1
- 関西医科大学附属病院健康科学センター 肥満外来 〔主なスタッフ〕医師5名、臨床心理士3名、管理栄養士5名、健康運動指導士6名、看護師2名、臨床検査技師1名、事務員1名 〔主な連携先の診療科〕循環器内科、腎臓内科、糖尿病科、消化器肝臓内科、精神神経科、消化管外科、泌尿器外科、耳鼻咽喉科など 肥満外来はBMIが30以上の肥満者が対象となる(BMIが30以下の肥満者にはインターネットを利用した減量コースが用意されている)。 関西医科大学附属病院にかかっていない場合は、健康科学センターの公式HPからメールで申し込んだうえで受診。生活習慣病の治療を受けている場合は主治医の紹介状が必要。受診の詳細については健康科学センター公式HP「OB外来のお知らせ」をご参照ください。 ●健康科学センターの公式HP http://www.kmuhsc.net/ 〔費用〕原則は自費診療。肥満の状態や基礎疾患によっては保険診療になることもある。保険適用の可否は初診外来で医師にご確認ください。
【参考情報】 ●肥満症治療を行う医療機関を知りたいとき 日本肥満学会 認定肥満症専門病院一覧 http://www.jasso.or.jp/contents/authorization/hplist.html 日本肥満学会では「医学的に適正な肥満症診療を行っていること」「肥満症を診療する専門外来があり、入院施設が整備されていること」など6つの要件を満たす医療機関を「認定肥満症専門病院」として認定し、その一覧をHP上で公開している。2018年6月1日現在、全国で127施設が認定されている。
取材・文/渡辺千鶴 撮影/八田政玄
「家庭画報」2018年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。