河合伸志さんが2010年に作出した「禅ローズ」シリーズの‘ベルベティ・トワイライト’。あでやかな赤紫はベルベットのような質感をもち、開花後は徐々に青みが増して紫色へと変化する。フロリバンダ系の四季咲き品種。ダマスク系の強い香りも魅力。
秋の透明感ある空気の中で咲くバラはひときわ美しい
さて、横浜イングリッシュガーデンといえばバラの名所の一つ。横浜駅から程近い都会でこんなにたくさんのバラを見られるガーデンがあるのは、とても幸せなことだと思います。私が訪ねた10月上旬は、ちょうど秋のバラが咲き始めたところ。写真ではボリュームが少なめですが、10月中旬から11月中旬にかけては、秋バラの咲き誇る景色が楽しめます。その数、1200品種、1600株。
イギリスのフライアー・ローゼス社で育種されたハイブリッドティーローズ‘オール・マイ・ラビング’。ビートルズの歌名と同じせいか、この華やかな濃ピンクのバラを見ると歌声が頭のなかで再生される。
6年目を迎えた成熟株なので、花もたくさん咲きます。気温が低くなる中でじっくりと咲く秋のバラは、花色もひときわ冴え、花もちがよいので長く観賞できます。少し赤みを帯びた葉とのコントラストから、初夏のバラよりぐっと落ち着いて、より気高さが増した美しさ。貴婦人の夜会服のようなエレガントな花姿をご堪能ください。
これもついあの名曲を口ずさみたくなる‘シンギング・イン・ザ・レイン’(雨に唄えば)。1994年にニュージーランドで作出されたフロリバンダ系の四季咲き品種。
横浜イングリッシュガーデンでは、バラの育種家として人気の高い河合伸志(かわいたかし)さんがスーパーバイザーとして園内のディレクションをしています。河合さんといえば、日本ならではの美意識にこだわって育種された「禅ローズ」が人気ですが、その品種を多く見られるのも、この庭ならではの楽しみです。秋の澄んだ空気感の中に咲く、凜とした姿の「禅ローズ」をぜひ探してみてください。