注目のジャパン・デザイン(3)
塩島敏彦さん
塩島敏彦(しおじま・としひこ)甲府郊外の富士川町にある工房「東峰」を主宰。父親は高名な象牙作家。宝石業界でも異彩を放ち、忘れられかけた技術を復元し製作する作品は他に類を見ない。幻の技法を甦らせ、モダンへ昇華させる稀有な作家
彼は、昔作られたジュエリーで、現存しながらもその技法がわからないものを見るとムズムズする性格らしい。
今製作するジュエリーの多くは、本場の西欧ですら誰も実践しない技法をもとにし、日本的なデザインを加えた画期的な作品です。
べっ甲に金銀の模様を象眼状に差し込むピクエ、色ガラスの粉末を型に入れて焼成するパート・ド・ヴェールなどがそれで、作るための道具まで自製して復元してしまいます。外国の宝石商が驚嘆するジュエラーです。
ピクエという技法とほぼ同じ技術を使い、金銀の模様を象眼状に埋めたブローチ。欧州でも見られなくなった技術を、ほぼ完全に復元して作ったもので、作り手の溢れる好奇心がうかがえる。和服の柄を思わせる自然を描いて。帯留めとしても美しい象牙の楕円形ブローチ。130万円/東峰こちらもピクエという技法とほぼ同じ技術で作られたブローチ。白蝶貝の花びらが幻想的に煌めく。葉や花芯などパートごとに異なる素材、技法を施しているこだわりの一品。170万円/東峰