私たちが輝くラグジュアリー美容 たるみをなくしたい、シワはいらない、パッチリした目もとに戻りたい。以前、化粧品では叶えられなかった願いが、最先端医療をヒントに開発された“効く”化粧品で実現する時代が到来しました。時代の最先端の化粧品を使い、思いどおりの若さと美しさを手に入れることこそ、今の“ラグジュアリー美容”といえるのです。
前回の記事はこちら>> 第2回では、化粧品メーカーが挑むテクノロジーの新領域をご紹介します。革新的な研究・技術力で様々なヒット商品が生まれる美容業界の、次なるキーワードは?コスメデコルテ、ロート製薬に伺いました。
【コスメデコルテ】iPS細胞研究×シワ改善研究
コーセー 皮膚・薬剤研究室
平 昌宏さんiPS細胞から線維芽細胞への誘導に成功
かつては化粧品では解決不可能とされていたシワですが、化粧品の進化によって改善できるように。現在も、より優れたシワ改善化粧品を完成させるべく、熾烈な開発競争が展開されています。
そうした中、iPS細胞技術を応用し、世界に先んじて皮膚の老化メカニズムに関する研究に取り組んでいるのが「コスメデコルテ」です。
「iPS細胞の作製技術は簡単にいうと細胞の時間を巻き戻す技術で、皮膚細胞もiPS細胞へ誘導することで細胞年齢をリセットし、加齢による影響の多くを消去できます。ただ、その細胞が決定的にダメージを受けていると、iPS細胞へ誘導しても機能は回復できません。
つまり、加齢によって何が決定的に損なわれるのか、どの機能は適切なケアで回復可能なのかを見極めることができるのです」と、研究を担当している平 昌宏さん。
すでにシワやハリにかかわる真皮の線維芽細胞をiPS細胞へ誘導し、再び線維芽細胞へ誘導することに成功し、大きな成果を得たといいます。
「最大の収穫は、iPS細胞を経て、再び誘導された線維芽細胞では、細胞のエネルギー生成工場であるミトコンドリア内の抗酸化酵素SOD2量の回復が確認できたことです。
そもそもシワやたるみが現れるのは、年齢とともにSOD2量が減り酸化ダメージが進んだせいなのですが、これが回復可能なら適切なケアでエイジングの進行も抑えることができる。その可能性がiPS細胞研究によって明らかになったのです」
そこで、さまざまな成分を試験したところ、シワ改善有効成分リンクルナイアシンと、植物エキスを組み合わせることで、SOD2量が回復し、エイジングの進行抑制につながることを発見しました。
「今回はシワがターゲットでしたが、iPS細胞による研究はさまざまなエイジングの改善の糸口を示し、化粧品開発に革新を起こすことを実証できたのも大きな成果です。今後、さらに優秀なエイジングケア製品が誕生する道筋 がついたと思います」
資料提供/コーセー