悠子のありようは理解できるし、共感もできる
原さんといえば、優しい母親像をイメージする方も多いのでは? でも、原さんは「世間が思ってるほど優しいだけじゃないと思います。子供たちには、世界一優しいけど、世界一怖いお母さんって言われてますから」と言います。野尻監督は、悠子にはマリアのような優しさとメスライオンのような獰猛さを秘めた人にお願いしたいと考え、原さんが思い浮かんだそうですが、「監督は間違ってないと思います(笑)。怒ったら、すごく怖いですからね、私。それに子育てが動物的だってよく言われるんです」。そんな原さんにとって、悠子の子供との向き合い方はどんなふうに見えたのでしょう。
「大人になった子供が閉じこもっちゃったら、やっぱり見守るのかな。いろいろ言わずに。母親っていうのは、手もとにいると安心しちゃうのよね。外に行ってしまってわからなくなるよりも、家にいてご飯を食べて生きてるっていうだけで安心するんですよ。もっと早くにいろいろしていれば、ああならなかったのにって言う人もいるかもしれないけど、もし私が浩一のリアルなお母さんだったら、きっと同じようにするかなっていうのがあるので、悠子のありようは理解できるし、共感できました」
「悠子は、ごく普通の、特に注目されることもなく淡々と家事をして、近所に買い物に行くぐらいしか外出はないような、そんな女性」