【特集】あの最高峰時計はなぜ愛されるのか? 家庭画報.comが最高峰時計ブランドの“愛される理由”を徹底分析。各ブランドから、歴史や性能を楽しめる「入門時計」、私のスタイルにフィットする「定番時計」、いつかは欲しい「夢時計」の3本をご紹介します。
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シャネルは1910年にガブリエル・シャネルがパリで創業して以来、世界中の女性に新しい価値と夢を提供し続けているブランドです。喪服の色とされていた黒を用いた“リトルブラックドレス”、女性の洋服に使用されることのなかったジャージーやツイードのような着心地のよい素材を用いたドレスを作るなど固定概念を打破し、自由な発想で女性のドレスコードを刷新してきました。
ブランド初となる腕時計「プルミエール」を1987年に発表し、シャネルのウォッチメイキングの歴史が幕を開けました。香水“シャネル Nº5”のボトルストッパーとヴァンドーム広場からインスパイアされた八角形のケースの「プルミエール」は、当時のシャネルのミューズ、キャロル・ブーケによるキャンペーンも話題を呼び、今も世界中の女性からファッショナブルな腕時計として愛されて続けています。
© CHANEL
当時のシャネルのミューズ、キャロル・ブーケによる腕時計プルミエールの広告キャンペーンも注目を集めました。「プルミエール」とは、フランス語で“最初の、第一の”という意味。赤いジャケット、香水のシャネル Nº5、そしてプルミエールと、シャネルらしさが凝縮されたビジュアルです。© CHANEL Watches
インスパイア源のひとつ、パリのヴァンドーム広場を空から見たところ(上)。プルミエールの八角形の小ぶりのケースに、広場の形が反映されています。ヴァンドーム広場は、マドモアゼル シャネルが暮らしていたホテルリッツがある場所です。© CHANEL Watches 自社製ムーブメント開発で新たな章へ――
2000年には、セラミックを素材に用いた「J12」を発表。その斬新さがウォッチメイキングの世界に革命を起こし、J12は“21世紀のアイコンウォッチ”と称され、ファッションのトレンドにも影響を与えました。その後、カメリアの花やコメット(彗星)の形をトゥールビヨンで表現した複雑時計や自社製ムーブメント搭載モデルを発表し、斬新な発想、デザイン、そして細部にまでこだわる姿勢が高く評価されています。
1993年にスイスのラ・ショー・ド・フォンにある時計外装マニュファクチュール、G&Fシャラトン社の経営を引き継いで以来、シャネルの時計はこのマニファクチュールで製造されています。2011年には自社製ムーブメント開発のため、工房内にシャネルのオートオルロジュリー(高級機械式時計)部門を設立。2016年に待望の自社製ムーブメント“キャリバー1.”を搭載した「ムッシュー ドゥ シャネル」を発表し、新しい章が始まりました。独自のヴィジョンに忠実に時計製造に取り組むシャネルは、新たなコードを取り入れ続けています。
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2017年に発表された「プルミエール カメリア コレクション スケルトン」。シャネルのクリエイション スタジオによるデザインで、スイスのマニュファクチュールで設計・開発したムーブメントの第2弾“キャリバー2.”を搭載。このムーブメントは、マドモアゼル シャネルが愛したカメリアの花をかたどっています。2017年のジュネーブ ウォッチ グランプリ2017でレディース部門賞を受賞。 表示価格はすべて税別です。 撮影/サトウアサ 取材・文/磯 由利子