【特集】あの最高峰時計はなぜ愛されるのか? 家庭画報.comが最高峰時計ブランドの“愛される理由”を徹底分析。各ブランドから、歴史や性能を楽しめる「入門時計」、私のスタイルにフィットする「定番時計」、いつかは欲しい「夢時計」の3本をご紹介します。
特集トップはこちら>> 「ディオール」の時計の誕生
世界のモードを牽引するファッションブランド、クリスチャン ディオールは、1946年にパリのアベニュー モンテーニュで創業したオートクチュールメゾンです。1947年の初コレクションで発表したバージャケットなどの“ニュールック”で一躍その名前が世界に広まり、パリ・モードの中心的存在に。
ディオールの時計制作は1975年にスタート。ファッションブランドが時計を手掛けた先駆けでした。2001年には時計専門のアトリエ「レ ザトリエ オルロジェ ディオール」をスイスの時計産業の中心地であるラ ショー ド フォンに設立。この地を選んだ理由は、「人の手による仕事が芸術品に独自の個性を与える」(クリスチャン・ディオール)の考えのもと、パリのアトリエで生まれたアイディアを実現するためには、ムーブメント デザイナーや文字盤職人、セッティング職人など時計のスペシャリストが必要で、彼らが集まる環境を求めたためです。ここですべての部品のテストと組み立てが行われます。パリのオートクチュールメゾンの創造性とスイスメイドの最高水準の時計技術が融合した芸術品こそ、ディオールの腕時計なのです。
©Benoit Croisy ムッシュ ディオールが幼少期に過ごしたグランヴィルの邸宅と彼がこよなく愛した薔薇が咲き誇る庭。2015年発表の時計「ラ デ ドゥ ディオール グランヴィル」はこの邸宅のカラーリングからインスパイア。ムッシュの愛した世界観はウォッチコレクションにも受け継がれています。©Paule Gilles ムッシュ ディオールの哲学を反映したクリエーション
ディオールの腕時計は、ムッシュ ディオールの哲学やドレスのデザインコードを反映したクリエーションが最大の特徴です。ムッシュ ディオールのラッキーチャームである星、彼が好んだバラの花、ディオールのラッキーナンバー“8”をデザインで表した「ローズ デ ヴァン」、華やかな舞踏会をイメージした「グランバル」など、一つひとつのコレクションに込められたムッシュ ディオールのエピソードやストーリーを知るのも、時計選びの楽しみのひとつです。
「ディオール グランバル」は文字盤の上にローターをセットするという技術を開発し、キャリバー“ディオール アルヴェンセ11 1/2”を完成。ドレスに見立てたトランスルーセントセラミックの花びらが装飾され、ラウンドダイヤモンドをセッティング。オートクチュールのドレスを作るように、卓越した職人の技がディオールの時計を支えています。1998年にファインジュエリー部門が設立され、そのアーティスティック ディレクターに、フランス貴族出身のヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌが就任。彼女は2003年に発表されたアイコニックな時計コレクション「ラ デ ドゥ ディオール」を手がけています。©Frederike Helwig 表示価格はすべて税別です。 撮影/サトウアサ 取材・文/磯 由利子