フィギュアスケート愛(eye) 本誌『家庭画報』の「フィギュアスケート」特集を担当する、フリー編集者・ライターの小松庸子さんが独自の視点で取材の舞台裏や選手のトピックスなどを綴ります。
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9月半ばのある日。特別に密着取材をお許しいただいている
『家庭画報』2019年1月号の付録に使用するポートレート撮影、そしてインタビューのために大阪へ髙橋大輔選手を訪ねたわけですが、ちょっと緊張してご登場をお待ちしておりました。
2019年の抱負を考え中の髙橋さん。このとき書いていただいた色紙は、特装限定版の付録に入っています。髙橋選手が電撃的な現役復帰宣言をしたのは新シーズン開幕の7月1日。
大きな決断をして戻ってきたのに、8月の合宿中に肉離れを起こしてしまい、新プログラムのお披露目予定だったアイスショーの出場を見送らざるをえなかったのは皆さんご承知のとおり。
9月になってようやく氷上練習を再開できた状況ではありましたが、10月初めの近畿選手権が迫ってきています。その合間の取材だったので、気持ち的に少し焦りを感じ始めているのではないか、落ち込んでいるのではないかと、実は正直少し心配だったのです。
ところが。
撮影現場に到着された髙橋選手の表情の柔らかいこと。
「肉離れで予定がずれてしまうのは、もちろん嬉しいことではないけれど、起きてしまったことは仕方ない。ここからの時間でどこまで回復できて、どんな演技ができるのか。そのプロセスも含めて楽しみたいと思っています」
髙橋選手の口から出る前向きな言葉の数々に、まるでこちらが励まされるかのような心強さ。思うような練習ができていないにもかかわらず、今まで何度か取材させていただいた中で、一番すっきりとした迷いのない表情を見られた気がします。
ファンの皆さんにとってあまりに衝撃で、そしてもしかしたらご本人にとっては明確な現実感のないままの引退となったのが4年前。
完全にフィギュアスケートから離れていたニューヨーク生活や、ダンスショー、ナビゲーター、キャスターなどの体験を経て、オトナになって競技の世界に戻ってきた髙橋選手がここにいました。
やりたいことが明確に見えていて、そのための苦労は厭わない覚悟ができている。今の自分にとって余計なものを削ぎ落とせている。そんなスッキリ感を纏った髙橋選手、いい写真が撮れないわけがありません!
今日の撮影でお召しの洋服はすべて私服。オシャレにも関心が高いだけあり、ご自分に似合うスタイルをよくご存じです。