昔ながらの豆腐作り
ではここで、入山豆腐店の豆腐作りを大まかに説明しましょう。
(1)大豆を水につける。(2)水を入れながら、ふやけた大豆をすりつぶす。(3)すりつぶした大豆をかまどで炊き上げる。(4)大豆が炊けたら袋で濾して、豆乳とおからに分ける。(5)豆乳ににがりを加え、型箱に流し入れる。(6)上から蓋で押さえて、水をきると出来上がり。
店頭では、16年前に代替わりした店主の入山貴之(たかし)さんが、金串に刺した豆腐を炭火で焼いていました。
焼き豆腐を作っているのは店主の入山貴之(たかし)さん。お店には自作の豆腐料理のレシピ帳が用意されていて、店頭で豆腐にまつわるいろいろな情報を教えてもらうことができます。とにかく明るく、話上手な方で、区役所から「京の食文化と健康づくり」についての講演の依頼が来るほどです。 煮崩れしない豆腐の秘密
入山さんの焼き豆腐作りで驚かされるのは、手間のかけ具合。
型箱に素材を流し込んだあと((5)の作業)、鍋をへら代わりにして固まる前の豆腐を軽く崩します。崩し方で豆腐の固まり具合が変わるのです。型箱の中央を木綿豆腐用に、その周囲を焼き豆腐用にするため、ひとつの型箱のなかで崩し具合を、わざわざ替えているとのこと。
入山豆腐店の焼き豆腐は金串に刺して、炭火で焼いています。
「串に刺すから、焼き豆腐は木綿よりも堅くする必要があります。煮崩れしにくいのが焼き豆腐の特徴のひとつ。水気をしっかりきるので、すき焼きなどに使っても出汁がしみやすくなります」(入山さん)
手際よく豆腐を焼いていく様子は見ていて飽きません。次は木綿豆腐の豆知識を。入山さんによると、関西では木綿豆腐を大きめに切って味噌汁に入れるそうです。これは豆腐が柔らかいため、大きくても食べやすいからとのこと。一方、東日本で木綿豆腐を細かく切るのは、豆腐が堅めだからだとか。