美しい土手の再生に向けて
農地での冬一番の仕事は、土手の再生からはじまった。
敷地内やアトリエの土手から、一部をスポット的に切り取って、 移植する。
シンボルツリーのヤマザクラの周辺は、土手にしたいので、念入りに植え込んだ。ノアザミやチガヤは、 とくに大事にしたいので、意識的に採取した。
ただ、再生する面積が広いので、これから何年かにわたって行う必要がある。
将来、どんな美しい土手になるだろう、 そんなことを夢見ながら、仕事はつづく。
ブロックに切り取った土手の表土。苔の中に チガヤがびっしりと生えている。私にとっては、 宝物のような土だ。ノアザミの越冬葉は、 円盤のような姿をしている。土を崩さないよう丁寧に、 シャベルで深さ20センチ位になるように掘り起こす。採取したブロックを一輪車で運ぶ。土手 をつくりたいところに、ブロックを間隔を開けて 点々と埋め込む。1~2年で、美しい土手が再生する。これまでの記事はこちら>> 今森光彦
1954年滋賀県生まれ。写真家。 切り絵作家。
第20回木村伊兵衛写真賞、第28回土門拳賞などを受賞。著書に『今森光彦の心地いい里山暮らし12か月』(世界文化社)、『今森光彦ペーパーカットアート おとなの切り紙』(山と溪谷社)ほか。
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