菜の花は春を告げる花。写真は、琵琶湖の対岸から見た風景で、 背後の比良山が美しい。今森光彦、環境農家への道
第23回 里山の原風景を取り戻す
(写真・文/今森光彦)
景色は、寒々しいけれど、どことなく春の気配が感じられる。落ち葉の中に指を差し入れると、土の暖かさが伝わってくる。
アトリエの雑木林では、福寿草が満開だ。よくぞこの冷気の中で、花を咲かせるものだといつも感心する。
顔をあげると、マンサクや梅の蕾が膨らんで、開花の準備が整っているようである。季節の始まりは、もうすぐだ。
マンサクは、 2月から咲き始める。農地開墾の構想がスタートして4年目にさしかかった。
びっしりと生えていた竹を取り払い、道を作り、土手を整備し、水辺を再生した。荒れ果てた農地再生は、私が想像していたよりはるかに厳しく、腕を使いすぎて腱鞘炎になるなど、ここには書ききれないほど色々な出来事があった。
あまりの辛さに一時は、弱音をはいてしまった ことも無くはないが、家族の励ましのおかげで、ようやく昔の農地がおぼろげながら 姿を現した。
ここまできたのは、専業農家 の西村さんをはじめとする地元の方々、いつも協力してくれる頼れるスタッフなど、様々な人の力を借りてこそで、皆さんには、心から感謝の気持ちでいっぱいだ。