京都の錦市場といえば、観光客で賑わう食べ歩きの商店街と思っている方が多いのではないでしょうか。しかし、本来の錦市場は、卸業を主として、料理店が仕入れを行うほか、京都の人々の食を支える台所であったのです。しかし、現在では、観光客向けの土産物ショップが増え、かつての役割が薄れてきています。
京都・錦市場について京都市中京区のほぼ中央に位置する錦小路通のうち、東は寺町通から西は高倉通までの約390mにも及ぶ商店街。市場のおこりは平安時代。豊富な地下水を利用して京都御所へ新鮮な魚を納める店が集まり始めたもので、約1300年の歴史を持つと言われています。地元の人からは錦(にしき)の名で親しまれ、かつてはより京都の人々の暮らしに密着した商店街でした。
自分が錦市場で仕入れた食材がディナーに!
そうしたなか、錦市場の日本料理店「斗米庵(とべいあん)」が、11月から新たな取り組みを始めました。なんと、一般のお客様が、錦市場で卸を体験し、プロの料理人がその食材を調理して懐石として提供するというユニークな趣向。自分で仕入れた食材で、懐石が食べられるなんて、これまで京都の食を存分に知り尽くしてきた方にとっても新鮮な体験に違いありません。
このプログラムは、錦市場の食文化継承を願い企画されたもの。京都錦市場商店街振興会と参加店の協力により実現した本企画は、錦市場の本来の姿と京都の食を、より深く知る絶好のチャンスです。しかも、1日1組限定というから、見逃せません。
料金/1名 1万8000 円(税・サービス料込み。ディナー料・仕入れ食材費含む)
催行人数/2名以上、最大10名まで。 ※貸し切りなども相談可
実際の流れは?
お店に予約を入れて、開催日が決まったら、当日は朝から仕入れを体験します。
10時斗米庵に集合
基本的なディナーコースの説明と旬の食材、料理方法などを事前に相談します。
10時15分斗米庵のスタッフと錦市場商店街で仕入れ体験
最低4店へと案内され、各店の店主と話し合いながら旬の食材、好きなものを仕入れます。
11時斗米庵に到着
食材をお店に持ち帰り、ディナーコースの最終確認をします。15分程度の確認作業ののちいったん解散。
18時斗米庵にてディナースタート
(スタート時間は、参加者の都合に合わせて変更が可能です)
祇園さゝ木の店主がメニューを監修
この特別なディナーを提供してくれる斗米庵について、紹介しましょう。こちらは、ミシュランシェフとしても知られる「祇園さゝ木」の佐々木 浩さんがメニューを監修しており、普段は、昼はコース、夜はプレフィックスコース(向附とメインについて、食材と料理法をお客様が選ぶ方式)となっています。料理長を務めるのは、祇園さゝ木、料理旅館などで修業を重ねたほか、滋賀県で約10年間、日本料理「言葉」を運営していた鮫島 誠さん。
斗米庵の料理長、鮫島 誠さん。京都の食文化を語るうえで、欠かせない錦市場。斗米庵ほか、一流店で使われる食材を支える市場の人たちと交流しながら、料理を一緒に作り上げるなんて体験は実に斬新といえましょう。きっと錦市場を見る目が変わる、このプログラムは京都観光の上級者にとっても、新たな発見があるに違いありません。
Information
斗米庵
京都府京都市中京区東魚屋町196‐1
- ※予約・お問い合わせは9 時~11 時、14 時30分~16 時限定。今回ご紹介した体験コースは、斗米庵で電話予約にて受け付け。 ※ご予約時の注意/当日は時間厳守。予約完了後のキャンセルは催行日の2 日前まで。以降は料金の80%のキャンセル料が発生します。食材によるアレルギーのある方は、お店にお申し出ください。当日の席は相席になる可能性があります。
文/川田剛史