「役者として、人間として、責任と自覚を持つことを求められる年齢になったと感じています」
来年1月3日〜27日の国立劇場では『姫路城音菊礎石』に出演します。
萬太郎「お正月の国立劇場で取り上げる芝居は、上演が途絶えていた作品を復活したものが多く、演じる側もご覧になるお客様も新作に近い状態です。こうした作品をいかに歌舞伎らしく仕上げていくかは特に定義があるわけではないので“こういうことをしたら歌舞伎としておかしい”“この役の人がこの芝居をする時に舞台上のこの場所にいたらおかしい”という感覚を、いかに自分の引き出しを増やして持つことができるかどうかが大切だと思っています」。
最近では新作歌舞伎の上演も多く、萬太郎さんも『あらしのよるに』『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』『コクーン歌舞伎 切られの与三』などの話題作に出演して来ました。
萬太郎「ゼロから役を作りあげる新作は、実は苦手なんです。僕は古典の作品では今まで、なるべく自分の色は出さずに、先輩方から教えられた通りの芝居をして来たので、新作で別の筋肉を求められることには正直、戸惑いますね。でも、ここに来て新作に出演する機会をいただくようになり、もっと自分の頭で考えて自分の意思を持って役を作ることもできるようにならなければ、と意識するようになりました」。
2019年には30歳を迎えます。
萬太郎「歌舞伎では“60歳でようやく一人前”とも言いますから、それから考えるとまだ半分ですが、世間では“30にして立つ”と言いますからね…。少し前までは上の人の言うことを信じて従っていれば大丈夫、と、まだ自分が責任を持つのは先のことのように思っていましたが、家族もできましたし、もう子供じゃない。来年はもう少し能動的に、責任と自覚を持って仕事をしていきたいですね」。