「きものは、着て“馴染む”ことが大切。着慣れるほど素敵に見えると思います」
インタビュー当日ご一緒された萬太郎さんの奥さま、小川絵美子さん。
小川絵美子さん「この着物は結婚の際に義母(中村時蔵夫人)に“お里帰りのきもの”として誂えていただいたもの。萬屋の紋でもある蝶をあしらい、帯も合わせやすいものをと選んでいただきました」。
白の帯とアイボリー色のきものという、綺麗な色でのワントーンコーディネートが上品な印象です。
小川絵美子さん「劇場ではお客様をお迎えする立場ですので、あまり華やか過ぎず、それでいて明るい印象になることを心がけています」。
お義母に加え、きもの選びの良き相談者となっているのが、義姉(中村梅枝夫人)の小川素美さんです。
小川絵美子さん「同世代できもののことをよく知っている義姉は、何でも相談できる心強い存在です」。
萬太郎さんが奥さまのきもののアドバイスをすることもあるのでしょうか?
萬太郎「時々、帯締めや帯揚げを“どっちが良い?”と相談されて“こっち!”と意見を言うことはあります。こんなことなら、もっと母のきものをよく見て勉強しておけば良かったと思うのですが…。」。
舞台の上では役になりきってきものを着こなすことができるのも、役者さんの芝居の一部です。
萬太郎「我々役者は楽屋でもきもので過ごしますが、着慣れているかいないかは、きもの姿や所作にあらわれると思うんです。特別な日の“よそいき”だけでなく、日常のちょっとしたお出かけにもきものを着るようになれば、きっと、馴染んで素敵に着こなせるようになるのではないでしょうか。もちろん歌舞伎を観にいらっしゃる際も、ぜひきものでお出かけいただきたいですね」。