エンターテインメント

阿木燿子さんがプロデュース。“近松×フラメンコ”で究極の愛を描く

2018.12.11

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阿木さんの現在の趣味はコーラス。宇崎さんと作った曲をコーラス用にアレンジして歌っているという。「縫い物も趣味です。ミシンを踏んでいると、不思議と心が落ち着くんですよ」

――そもそも『曽根崎心中』とは、どのように出合われたのですか?


「主人の初めての主演映画(音楽も担当)が『曽根崎心中』(1978年)だったんです。その映画の公開翌年に「渋谷ジァンジァン」から、文楽の方と一緒に何かやってみませんか?と声をかけていただいて、80年に上演した舞台が『ロック曽根崎心中』。この時に私が作詞、主人が作曲した楽曲をフラメンコ版にリメイクしたのが『フラメンコ曽根崎心中』なんです。ですから、『曽根崎心中』というラブストーリーとの付き合いは、もう40年くらいになりますね」

――どこにそこまで惹かれたのでしょう?


「それは本当に私達にもわからなくて。何かこう、突き動かされるようにやっていますね。一つの作品を何度も磨き上げてゆく面白さは、あると思います。私達プロの作詞家や作曲家は、音楽業界では曲を作った時点で仕事が終わってしまうことが多いんです。編曲家にアレンジに回され、レコーディングされたら、もう直すことができない。その点、この『Ay 曽根崎心中』は、公演があるたびに手直しができます」

――阿木さんご自身もフラメンコをなさっていたと思うのですが、今は踊っていないのですか?


「踊っていないんですよ。フラメンコは難易度が高い分、クリアした時の達成感が大きいこともあって、ハマる人は本当にハマるんです。私も40代の頃はかなりのめり込んで、それこそ寝る間も惜しんで練習していたんですけれど、全然上手くならなくて(笑)。でも、フラメンコをやっていなかったら、この作品は絶対に生まれていないと思うので、人生、何が幸いするかわからないですね」

――いまやご夫婦の“ライフワーク”にもなっていると、前にもおっしゃっていたこの作品。いつもどんな気持ちで客席からご覧になっているのですか?


「結構“複眼”で観ているような感覚はありますね。作品の一ファンとして観ている一方で、“あそこは変えたほうがいいかな”とか“ここはもうちょっと直そう”というふうにダメ出し的な見方もしていて。毎回、胸に迫るシーンがあるんですけれども、それも日によって違ったりします。主人は主人で、この作品にはすごく思い入れがあって、特に役者として演じたこともある徳兵衛については、こういう解釈もあるんじゃないかとアドバイスをしたり……。もちろん、音楽監督としての責任も果たしてくれますし、本当に支え合いながら一緒に磨いている感じです」
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