スイス取材の2か月後、来日したキャロリーナ・ブッチさんから制作秘話を披露
2016年、センセーショナルな発表で時計界に衝撃を与えた新しい「ロイヤル オーク・フロステッドゴールド」の生みの親である美しいイタリア人デザイナー、キャロリーナ・ブッチさんが11月に来日。
上品に煌めくフロステッドゴールドは、いまだかつない最上級のロイヤル オークとして世界中の女性に人気ですが、凄いのは発売後、男性にも人気が伝播していったこと。私もファンの一人。いつか手に入れたい憧れの時計です。
2016年に発表された「ロイヤル オーク・フロステッドゴールド」径37mm。 この秋、新たなフロステッドゴールドが誕生
2018年秋、ロイヤル オークのデザイン個性の一つであった文字盤のタペストリー柄をなくし、何と大胆に文字盤をミラーにしたモデルを発表。来日した彼女にオーデマ ピゲ、そしてロイヤル オークとの出逢い、女性の時計とは?についてお話を伺いました。
世界限定300本の「ロイヤル オーク・フロステッドゴールド キャロリーナ・ブッチ」限定モデル 径37mm。自動巻き。18KYGケース。560万円。「私は7年前にある時計と恋に落ちたの!」
「私はフィレンツェで4代続く1885年創業のジュエリーづくりの家系で育ちました。偶然にもオーデマ ピゲ創業の年、1875年の10年後です。しかもオーデマ家、ピゲ家も4世代目。ジュエラーでありながら、懐中時計のチェーンも手がけていた我が家のビジネスが、こんな形で憧れの時計に関われるのに運命を感じます」
「私事ですが、今回は夫のジェームズも一緒に日本に来ました。いつも彼はジュエリーデザイナーの夫として苦労しています。特に誕生日のプレゼントには悩まされています(笑)。
プレゼントはジュエリー以外で素敵なものを探さなきゃいけないのですからね。35歳の誕生日のプレゼントに、どんな時計がいい?と相談している時期に、ニューヨークで運命の時計に出会ったの!
カフェで向かいに座っていた女性がつけていた時計が、私が欲しかったと思っていたもので。それが、オーデマ ピゲのロイヤル オークだったのです。その後、80年代のユーズドのロイヤル オークで素敵なものを見つけ、愛用していました」
オーデマ ピゲ社へ提案し実現した奇跡のコラボ
「その後、縁があり、オーデマ ピゲCEOのフランソワさんを紹介してもらい、ロイヤル オークへの想いを伝えると、念願が叶いスイス本社があるル・ブラッシュに招待してもらいました。フランソワCEOと話すと、多くの共通点とともに、相反する要素があることに気がつきました。“男性的な機械式時計と女性的なジュエリー”、“複雑時計の正確性と私のカオスなデザイン”。これらを融合させたい、大好きなロイヤル オークを再解釈したものを作りたいと想いを伝えました」
提案したのはジュエリーのようなフィレンツェ仕上げ。ル・ブラッシュの厳しい冬の霜を連想させる煌めくゴールドです。試行錯誤を繰り返し2016年に発表されたのが「ロイヤル オーク・フロステッドゴールド」です。
そして革新を起こしたミラーダイヤル
「今回、発表したのは、文字盤がミラーになったもの。この限定時計は1つのサイズに色はイエローゴールドのみで1つのモデルしか作れないという制限があったので、無限に違って見えるものって何だろうと考えた時、ミラーダイヤルの発想が生まれました。朝昼夜、カジュアル&フォーマル、様々なシーンで自分らしさを演出でき、時計がそれぞれのシーンで変化を見せるのです。時計は現代の女性像を映し出すもの。身につける女性が、それぞれの人生を投影していただけたら嬉しいですね」
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【特集】本物を知る女性のための時計「オーデマ ピゲ」>> 撮影・文/大野 陽(家庭画報.com)