ノーブルな紫の衣装が宇野選手の端正な演技によく似合う。ジャンプのミスなどもあり、絶好調ではないながらも、今できることをやりきった姿勢は次につながるはず。SP「天国への階段」。写真/YUTAKA/アフロスポーツ 宇野昌磨選手 日本
SP「天国への階段」91.67点2位(FS183.42点2位、合計275.10点2位)
最終滑走だったSPを終え、首位のネイサン・チェン選手(アメリカ)に次いで僅差の2位につけた宇野昌磨選手。このところ精度は戻りつつあったものの、やや懸念材料の一つだった4回転フリップが回転不足になってしまいました。
その後の4回転トーループ−2回転トーループ、トリプルアクセルはうまくまとめましたが、試合後は「今朝の練習と演技直前の練習がひどい内容だった。フリップもトーループも失敗し、自信を喪失してしまった。過去にないほど調子が悪かった」と自身に対して辛口コメント。
「完璧になるべく近い演技を望みます」と自分に発破をかけてきましたが、公式練習で思いがけないジャンプミスが続いてしまったことで、自分への信頼が少し揺らいでしまったのかもしれません。
でも、GPFでは優勝できなかったとはいえ、2018年12月17日時点のISU(国際スケート連盟)世界ランキングにおいて第1位、総合得点ランキング世界3位、SPランキング2位、FSランキング3位。どのアプローチからでも現在の世界トップ3に入ることはまぎれもない、誇るべき事実です。
その端正で美しいスケーティングは、着実に年々進化を遂げています。宇野選手のスケーティングは弦楽器と非常に相性がいいと感じているのですが、このSPでもギターが奏でる旋律と呼応して、緩急のついた魅惑的なプログラムになっていると思います。
まずは、個性溢れる素敵な演技を見せてもらい、それに結果がついてくればよいこと。毎試合、冷静に課題を見つける宇野選手のペースで精進していけば、いつかきっと更なる高みに到達できる日がくるはずです。
『家庭画報2018年1月号』の取材時に「ものすごく負けず嫌い」と自己分析していましたが、悔しさ、手応えその全てを糧にして、12月21日からの全日本選手権、2019年3月18日からの世界フィギュアスケート選手権で、宇野選手自身が納得の演技ができることを願っています。