『SHIRANAMI』では、太一さんが花魁の姿で登場するシーンもあるとのこと。――脚本・演出はG2さん。加えて、B’zやEXILEほか多数のミュージシャンのコンサートを手がけてきた市川訓由さんがショー演出を担当するとのこと。太一さんも、歌ったり踊ったりするのですか?
「いえ、今のところ、僕の役には歌や踊りのシーンはないです。僕もはじめはてっきり、お芝居とショーを2部構成で見せるのかなと思っていたんですが、そうじゃないみたいだし。市川さんは主に、お芝居の中で映像を使う場面を演出されるそうです。まだ稽古場でピアノでしか聴いていないので、劇中にジャズやラテンの曲がどういうふうに入ってくるのか僕にはわからないんですが、まずは伊礼さんや龍さんの歌のシーンがどうなるのか、仕上がりが楽しみです」
――せっかく女性に扮するのに、太一さんの踊りが観られないのは残念です。
「僕もです(笑)。立ち回りはあるので、殺陣の稽古はやっているんですけれども、歌や踊りがない分、ほかの出演者の皆さんに比べると、結構楽をさせてもらっている感じです(笑)」
――立ち回りといえば、IHIステージアラウンド東京でロングラン上演された劇団☆新感線『髑髏城の七人』“Season鳥”と“Season月”に、それぞれ違う役で出演した際の立ち回りも見事でした。“Season月”では貫禄すら感じました。
「“Season月”は若い出演者が多かったし、劇団員以外では僕がいちばん劇団☆新感線作品を経験していましたから。自分としても、2009年の『蛮幽鬼』で初めて呼んでもらって以来、劇団☆新感線の公演では自分が常に最若手というイメージがあったので、びっくりしましたね。自分より年下が出るようになったんだ!って。17歳の頃から見守ってくれている劇団☆新感線の皆さんに、“太一も先輩になったな”“成長したな”と言われたことも、やっぱり嬉しかったです」
――成長したなという実感は、ご自身にもあるのでしょうか?
「あります。特に内面的な部分はめちゃくちゃ変わったと思いますし、まだ変わっている途中だなと感じます。とにかく昔は、すべてに対して意欲がなかったので、そこははっきりとした変化ですね。たとえば、こういう取材を受けても、以前は“はい”か“わかりません”くらいしか答えなかったですから(笑)」
――確かにそうでした(笑)。変化のきっかけは何かあるのですか?
「年齢的なものはあると思います。大衆演劇の劇団に生まれて、そこで自分も舞台に立ちながらずっと育ってきて……。今思えば、ありがたい環境だけど、特に思春期の頃は、そういう環境に対する反抗とか反発が自分の中にあった。でも、そういうものを少しずつ受け止められるようになって、さらにそれを自分の背中に背負うようになって……。そういう自分の姿勢とか劇団の体制の変化に伴って、おのずと心も変わっていったというか」