迷い世代の服選び 「最近何を着ても似合わない」と悩む“ファッション迷い世代”の女性に向けて、雑誌『家庭画報』で活躍するスタイリストのおおさわ千春さんが、誰でも実践できる服選びのルールとポイントをお届けします。
これまでの記事を読む>> 大人気ファッションコラム「迷い世代の服選び」。スタイリストのおおさわ千春さんが、誰でも実践できる服選びのルールとポイントをお届けしています。毎月の第4週目は、迷い世代のリアルな悩みにずばり答える「教えておおさわさん」のコーナーです。
【お悩み】
休日のカジュアル服になると、途端におばさんっぽくなってしまう気がして悩んでいます。何が原因なのでしょうか? 素敵な大人カジュアルと、おばさんカジュアルの違いは一体どこに?
【お答えします】
カジュアルのさじ加減って、難しいですよね。私は、大人カジュアルとおばさんカジュアルの境目は、「コンプレックスを隠そうとして選んでいるかどうか」だと思っています。
気になる部分を隠したい気持ちはわかりますが、その努力感が透けて見えると、途端におばさんに見えるので要注意です。迷い世代が選んでしまいがちな服装の筆頭は
チュニック丈+スキニーパンツ。お腹まわりやヒップを隠そうとして長めの丈を選ぶ方が多いのですが、それを着ると誰でもおばさんカジュアルまっしぐら(笑)。体型にメリハリがなくなってきたからこそ意識的に、服装でくびれを演出するようにしないと老けて見えます。
もうひとつ気をつけていただきたいのが、
甘めのモチーフ。
お洒落に敏感な友人に、旅スタイルのアドバイスを求められたときのことです。
友人は、普段から甘めの服が大好きで、カジュアルという概念自体がないような女性。
事前に、「こういう服はどうかしら」という写真が送られてきたのですが、拝見してびっくり。シースルーの大きなパフスリーブのブラウスを皮切りに、どう見ても旅に着ていく服でないものが並んでいたのです。
いくつになっても可愛く見せたい、というご本人のご意向は痛いほどわかるのですが、TPOを度外視してしまったら、いくら素敵な服を着ていても美しくは見えないということをわかってもらうのに、とても苦労した経験があります。
特に日本人は可愛く見える=若く見えると思っている方が多いような気がしますが、大きな勘違い。可愛いモチーフの代表であるフリルやリボンは、年齢を隠そうという意図が見え隠れするので、避けたほうが無難です。
ただし、70歳を過ぎたら、甘モチーフを解禁しても大丈夫。年齢を隠すものではなく、人としての魅力を表現するものとして大いに力を発揮してくれるはずですから。
そのほかのタブーアイテムとして挙げておきたいのが、
若い頃と同じアクセサリー。思い入れがあってお守りのように身につけているということでもなく、ただアップデートされていないだけのアクセサリーは、コーディネートを古く見せます。
特にかつて一世を風靡したモチーフものは、わかりやすく時代遅れに見えてしまうので注意してくださいね。
ある時期から、ファッションに対する想いが止まっていて、昔と違うところは隠してしまおうとする後ろ向きな気持ちが、おばさんカジュアルを生む要因。素敵な大人カジュアルは、今の自分をきちんと見つめ、年齢を重ねたなりのアイテムを選ぶことが大事なのです。
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おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト
雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。
イラスト/大橋美由紀 編集協力/湯澤実和子