不定愁訴の背後に潜む病気を、早期に発見し専門科につなぐ
初診の診察前には赤澤先生が開発した問診表を使い、家族歴や病歴、食欲・睡眠・排便・排尿・月経の状況、妊娠・出産歴、体と心の状態、食習慣などの質問が丁寧に行われます。
「食べられない、眠れないという身体症状を訴える人の中にはうつ病が原因のことも多いので、問診と臨床心理士による検査で明らかにうつ病であると診断された場合は精神科に紹介します」。
うつ病にかぎらず、病気が疑われたときは専門の診療科に回します。「更年期以降は生活習慣病や自己免疫疾患などのリスクが高まる時期なので、隠れた病気を早期に発見するのも私たちの大事な役割です。ここでは甲状腺がんや卵巣腫瘍などがよく見つかります。」
こうした役割を強化するために各診療科と緊密に連携し、最近は特に女性泌尿器外来の森田展代先生と協力し尿失禁や頻尿のケアにも取り組んでいます。
初診には30分ほどの時間をかけ、患者の訴えにじっくり耳を傾けます。そのうえで女性ホルモン補充療法など適切な治療を行いますが、大きな特色は現代医学とともに漢方医学や抗加齢医学も積極的に取り入れ、統合医療を行っていることです。
原因が特定できない不定愁訴の改善に、古今東西の統合医療で立ち向かう
なかでも漢方医学はどの医師もよく勉強しています。
「原因が特定できない不定愁訴を改善するには現代医学の力だけでは限界があります。エビデンス(科学的根拠)がそれほど確立されていない領域の治療法が奏功することも少なくないため、患者さんの状態や状況に応じて古今東西の治療を組み合わせたり使い分けたりしています」。
また、抗加齢医学をベースにしたサポートは、更年期女性が老年期にスムーズに移行するのに役立つだけでなく、慢性疾患にもよい効果が期待できます。
「長年、ビタミン剤を飲んでいたおかげで関節の変形をまぬがれたリウマチ患者さんや血圧が安定している高血圧症患者さんがいます。人生100年時代の今、閉経後の50年間を健やかに生きるうえで抗加齢医学の視点は重要です」。
このほか臨床心理士によるカウンセリングや管理栄養士による栄養相談などのサポートも充実しています。