健康や命にかかわる問題を、一つの医療にゆだねすぎない
「多くの場合、医師は代替療法に関する知識を持たず、肯定も否定もできないのが正直なところです。“そんなものは効かない。やめたほうがいい”と一刀両断する医師は感情的になっている可能性が高く、良心的な医師は“わからない”と答えるでしょう。
同様に、薬の副作用を必要以上に強調するなど西洋医学を悪と決めつける代替療法の提供者にも注意が必要です。
患者さんの利益を第一に考える医療者・治療者なら、必要に応じてこちら側の情報を相手側にすすんで提供するくらいのスタンスに立てるはずです」
代替療法は宣伝が自由なので利用者は多くの情報を得やすく、しかも魅力的な内容に偏りがちです。これを患者が見極めるのは難しく、医師から西洋医学的な見解を引き出し、判断材料の一つとすることも重要です。
また、がんが再発し抗がん剤が効かなくなるなど、西洋医学では治す手段が尽きてしまうシビアなケースで代替療法に望みをかける患者さんは数多くいます。
「その場合も西洋医学とのつながりを断ち切らないことが重要だと考えます。痛みや苦痛を和らげる緩和医療の分野で西洋医学の技術はかなり進んでおり、有効活用しない手はありません。
健康や命にかかわる問題を、西洋医学か代替療法かの片方に極端にゆだねすぎないことが大事なのだと思います」