代替療法を上手に利用するためのケーススタディー
ケース(1)
巷で話題の〇〇療法。効果があるかと尋ねたが、医師は「わからない」という
大人になってからアトピー性皮膚炎を発症したAさん(51歳)。皮膚科のクリニッ クで塗り薬や飲み薬による治療を続けていますが、なかなか改善しません。
副作用も心配で、ほかの治療法を探していたところ、インターネットで特殊な入浴剤を見つけました。1か月分で1万円と決して安くはないのですが、体験者の喜びの声も多数掲載されています。
興味を持ったAさんが主治医に記事を見せて「これは効くでしょうか」と聞くと、「わかりません」との返事。医師は代替療法についてノーコメントなのかとがっかりしています。
【患者の心得】
“効くかどうか”ではなく、“害があるかどうか”を聞く星の数ほどある代替療法のほとんどについて医師は知識を持っておらず、効くか効かないかについては判断のしようがありません。したがって「わからない」と答えた医師は正直で良心的だといえます。
しかし、医師は代替療法に関して何もアドバイスができないわけではありません。たとえば「その入浴剤に含まれている〇〇成分はあなたの症状を悪化させかねない」など、害があるかどうかを西洋医学的見地から推測することができます。
医師には、代替療法の効果ではなく起こりうる害を尋ねると実のある答えを得られ、行うか否かの判断材料の一つとなります。
ケース(2)
カイロプラクティックを試してみたいが、医師の機嫌を損ねたくない
Bさん(51歳)は、4、5年前より左の腰から足にかけての痛みとしびれに悩まされています。整形外科で坐骨神経痛と診断され、鎮痛剤を飲みながら理学療法を受け続けていますが、症状は一進一退で思うようによくなりません。
以前から興味を持っていたカイロプラクティックを試してみたいのですが、親身に治療を続けてくれる医師の機嫌を損ねるのではないかと心配で、いい出せずにいます。
信頼している医師に黙って始めるつもりはなく、どう話したらよいか迷いながら今日も痛みに耐えています。
【患者の心得】
五分五分でなく、あくまでも医師を“主”として相談する西洋医学と並行して代替療法を試そうとする場合は、できるだけ医師の感情を刺激しないよう穏便に伝えるに越したことはありません。一つの症状に異なるアプローチで向き合う“ライバル”の関係だともいえるからです。
まず、報告ではなく相談の形で事前に話すこと。そして、自分の中で重点を五分五分に置いているとしても、あくまでも現在の担当医が主であるとのスタンスを崩さないことです。
たとえば、「先生の治療を続けながら、カイロプラクティックがどういうものか一度試してみたいのです。結果は先生にもご報告します」のように話すとよいでしょう。
ケース(3)
医師がなぜか鍼灸に懐疑的だ
Cさん(53歳)のかかりつけ医は、更年期障害には積極的に漢方薬を処方するのに、五十肩を訴えても鍼灸をすすめようとしません。効果を疑っているのかと不安です。
【患者の心得】
自信が持てない理由を理解する漢方医療に深く精通していない医師でも、漢方薬は処方する采配をふるえる分、身近に感じることができます。
一方、直接手を下せない鍼灸は自分の領域から遠い印象があり、自信を持ってすすめられないのです。五十肩に対する鍼灸治療は保険診療ですので効果を疑っているのではありません。