がんの遺伝子の検査の歴史
〜がん遺伝子の解析法の発展で検査が進歩し、薬物療法における重要性が増大している〜
1953年米国のジェームズ・ワトソンと英国のフランシス・クリックによって、DNAの二重らせん構造モデルが提唱される。
1975年DNAシーケンシング法が開発され、DNAの塩基配列を読めるようになる。
1989年頃p53遺伝子ががん抑制遺伝子であることが明らかになっていく。
1998年HER2遺伝子変異、HER2たんぱく質過剰発現の乳がんに対する分子標的薬トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)が米国で承認される(日本での承認は2001年)。以降、分子標的薬を使うかどうかを決めるために、がんの遺伝子異常をコンパニオン診断薬を用いて調べることが普及していく。
2000年ヒトゲノム全配列の概要が解明される。
2003年ヒトゲノム全配列の解読が完了。
2005年超大量のDNAシーケンス反応を並列して行う高速の次世代シーケンサーが発売される。
2016年非小細胞肺がんのEGFR遺伝子変異を調べる血液検査が日本や米国で承認される。
2017年多数のがん関連遺伝子を一度に調べられる、がん遺伝子パネル検査が世界で初めて米国で3種類承認される。
2019年国立がん研究センターが開発した、がん遺伝子パネル検査「NCCオンコパネル」が保険承認される予定。
中釜 斉(なかがま ひとし)さん
1956年生まれ。1982年東京大学医学部卒業、90年同附属病院第三内科助手。91年、米国マサチューセッツ工科大学がん研究センター 研究員。95年に帰国し、国立がんセンター(現・国立がん研究センター)研究所 発がん研究部室長、生化学部長、副所長、所長を歴任。2016年から現職。ヒト発がんの環境要因および遺伝的要因の解析とその分子機構の研究を専門とする。