2016年7月に、新国立劇場 中劇場で初演された際の『キンキーブーツ』の舞台より。写真中央が三浦さん演じるゴージャスなドラァグクイーン、ローラ念願が叶った喜びと歯がゆい思いと
「2013年にブロードウェイでオリジナルバージョンを観たときから、ずっとやりたいと思っていた念願の役でした」と話す三浦さんが演じるのは、チャーリー(小池徹平さん)に頼まれて、ブーツのデザイナーとして工場に赴き、保守的な従業員たちの反発に遭うドラァグクイーンのローラ。
初演では、鍛え上げて7キロ増量した体と野太くつくり変えた声で、ゴージャスで逞しいローラを演じ、読売演劇大賞の優秀男優賞と杉村春子賞を受賞した。
「自分の願いがいよいよ現実になって、お客さまも飛びきりの笑顔をステージに向けてくださって……とても幸せで、特別な毎日でした。物語や音楽が持っている力が、観に来られたかたや演者の気持ちを高めてくれるんです。毎回がチャレンジで、辛いと思ったことは一度もありませんでした」
ただ、思い入れが強いだけに、「自分の実力不足が歯がゆくて、悔しい思いはあった」という。
「だから、再演できることが本当に嬉しくて。2回目だからこそ、成長した姿をどうにか見せたい気持ちがありますし、スキルの面はもちろん、キャラクター同士の関係性やそこに流れる感情をしっかり構築して、芝居の流れの中で歌をもっと自然に届けられるようにしたいなと思っています。
僕自身も初演から3年分、年齢や経験を重ねているので、前回とは違うアプローチで表現してみたいと思っている場面もいくつかあります。
もちろん、ブロードウェイのクリエイティブチームや、岸谷五朗さん(日本版演出協力と上演台本を担当)が受け入れてくださったらの話ですが、よりリアリティのあるローラを演じて、前回よりもバージョンアップした『キンキーブーツ』にしていけたら」