屛風絵のような美しい山並みが望めるFさんの別邸。高台に誕生したその邸宅は、周辺の自然との融合を見事なまでに実現しています。建具を開け放てば一つの大空間となる“一屋一室”の邸宅は、床や天井など内部にも自然素材の木をあしらい、石やタイルのよさを引き出しています。その絶妙なバランスの中に結実する「住友林業」ならではの創意工夫とは―。
〔視線を低くすることで大自然に囲まれた籠り感を実現〕
一段床を下げ、天井高3.1メートルを確保した土間リビング。ガラスをはめ込んだ格子戸を開け放つとダイニングと一体となる大空間が、閉めると独立した空間が生まれ、広がりと“籠り感”の両方が楽しめる。木や石。取り合わせの妙と自然との融合を楽しむ
緩やかな坂を上るにつれて、その外観は少しずつ木々の間から存在を現します。周辺の自然に見事なまでに溶け込んだこの家は、仕事で京都と東京を行き来する多忙なFさんの安らぎの別邸。招かれた人は、まずファサードを印象づける紅葉樹、ノムラモミジと建物の調和に心を奪われることでしょう。
「まわりの景観を取り込みたいというご主人の思いを受け、もともとあった樹木をそのまま生かし、樹皮や葉の色を外観の意匠に取り入れました」と設計を担当した住友林業の河村 賢さん。自然との融合という発想は、住まいの内部にも見て取れます。
例えば、床面を下げた土間リビング。視線の位置を下げることで隣家の屋根が見えにくくなり、雄大な山に包まれるような“籠(こも)り感”につながっています。また、リビングの格子戸を開け放てば、ダイニングやバーカウンターと一体となり、木質感溢れるもてなしの大空間が生まれるのも魅力です。自然素材に包まれた大空間の中に、モダンで上質な佇まいが実現されているのは、木の配分や使い方に配慮し、建具や家具の幅・厚みまで細やかに計算しているため。
〔自然素材の風合いを生かしたもてなしのダイニング〕
木の表情を引き立てるよう、紺の壁紙を配したダイニング。2階のゲストルームへと続く階段は浮揚しているような片持ち階段とし、鉄のフレームとともに上質感が生み出されている。
〔木質感の中にミラーを取り込み光を愛でるバーカウンター〕
木の引き戸で仕切られたキッチンの前には、美しいバーカウンターが。木をあしらった壁面には、小さなミラーも仕込まれており、光の入り方でさまざまな空間の表情が楽しめる。ダイニングでも、床にはやわらかな表情のオークを、天井には濃淡が印象的なウエスタンレッドシダーを用いるなど、空間に表情をつける演出が独特の軽やかさを生んでいます。
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「家庭画報」2019月3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。