学際的カンファレンスには 基礎医学者や産業医も参加
「ありとあらゆる慢性痛に対応できるのは当センターが診療科を横断した学際的な診療体制を構築しているからです」。
ここでは、痛み治療のエキスパートが慢性痛の状態を作り上げている痛みの身体的、精神的、社会的要素の相互関係を多面的に評価したうえで、“痛みの学際的カンファレンス”と呼ばれる場において各医学領域の専門家が全員で診断と治療方針の検討を行い、その患者に最も適した治療法を選択します。
慢性痛を軽減・改善するだけでなく日常生活を取り戻すことを治療の目標に
「カンファレンスには麻酔科・ペインクリニック医、整形外科医、リハビリテーション医などのほか、看護師、理学療法士、臨床心理士などの医療スタッフも参加します。
また、病態の解明に重要な役割をはたす基礎医学者、就労や社会復帰を支援する産業医もメンバーの一員であることが当センターの大きな特徴の1つです」
さらに診療には患者の協力も欠かせません。「痛みの診断と治療を的確に行うには、痛みの状態や状況が正しく評価されていることが前提です。それには問診票がとても重要な意味を持ってきます」と福井先生は説明します。
問診票では症状だけでなく、性格や家族構成、生活実態にまで踏み込んだ多くの質問が行われますが、これは治療目標が単に痛みを軽減・改善するだけでなく、生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)を向上させることに置かれているか らです。
こうして治療方針と治療法が決まると、麻酔科・ペインクリニック医を中心に理学療法士と臨床心理士らが緊密に連携しながら慢性痛の治療が行われていきます。次回ではその実際について詳しくご紹介します。
痛み治療センター 診療の流れ